ドイツのニュース誌Der Spiegelによると、「Follow the Money」(金の動きを追え)は単なる合言葉ではなく、米国家安全保障局(NSA)内に実在する部局であり、Visaなどの決済処理を密かに監視しているという。
Der Spiegelは現地時間9月15日、元NSA契約社員のEdward Snowden氏がリークした2010年の書類を引用して、「Follow the Money」部門は収集したデータを独自の金融データベースに流し込んでいると報じた。2011年の時点でこのデータベースには1億8000万件の記録が保管されており、そのうち84%はクレジットカードの決済記録だった。
米CNETがNSAにコメントを求めたところ、同局の広報担当者は以下の声明を寄せた。
米政府は、米国および同盟国の安全保障に対するさまざまな脅威と闘うため経済や金融の問題に関する情報を入手しており、これにはテロリストの資金の流れや活動のネットワークに関する情報も含まれる。この情報は、規制当局、法執行機関、外交部門、情報機関の各チャネルに加え、協働関係にある同盟国や協力国との取り組みを通じて収集される。
Der Spiegelによると、NSAは全体的な監視活動の一環としてVisaなど大手クレジットカード会社の顧客の決済を調査しているという。具体的には、欧州、中東、アフリカ地域のVisaの顧客を対象に国際的なつながりを調べている。
こうした報道を受けて、Visaの広報担当者はDer Spiegelに以下の声明を寄せた。
当社では、われわれのネットワークに対する許可のないアクセスを一切認識していない。Visaはデータセキュリティを真剣に考えており、いかなる侵入の試みに対しても、法律上許される範囲で可能なあらゆる対抗策を追求するつもりだ。さらに、召喚状などの有効な法的手続きに対しては、決済情報だけを提供するのがVisaの方針だ。
同じく諜報活動に従事する他の情報機関でさえ、NSAによる金融取引の追跡については懸念を表明しているとDer Spiegelは伝えている。NSAとも協力したことのある英国の諜報機関、政府通信本部(Government Communications Headquarters:GCHQ)は文書の中で、収集データには「豊富な個人情報」が詰まった「大量のデータ」が含まれるが、そのほとんどは「われわれの標的に関するものではない」と述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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