カブクは9月10日、6月からベータ版としてユーザーを限定してサービスを提供してきた3Dものづくりマーケット「rinkak(リンカク)」を正式公開した。
rinkakは、企業をはじめプロダクトデザイナーやプログラマーなどが制作した3Dデータをアップロードし、それをもとにした製品を販売できるマーケットレイス。アップされた3Dデータはrinkakにて、実際に製造可能かを確認したのち、製品のプロトタイプをサイト上に掲載する。
製品の製造および出荷はカブクのパートナーが担当する。素材にはプラスチックや陶器、金属など、多彩な素材に対応する。3Dデータをアップロードするデザイナーは、製造原価に利益を乗せた形で自由に価格を設定し、販売できる。利益の3割がrinkakの手数料となる。サイト上には、地層をモチーフにした花瓶「stratum_vase_002_」やプログラムで自動生成されるコップ「Polygon Cup」などが並ぶ。
正式版では、デザイナーがクリエイティブ・コモンズライセンスによる3Dデータの公開も可能になった。これにより、「表示」のライセンスで公開された3Dデータを改変して、他のデザイナーがそれを改変して“リミックス製品”を作るといった試みも可能だという。
カブクは代表取締役兼 CEOの稲田雅彦氏と取締役兼CTOの足立昌彦氏が立ち上げたスタートアップ。稲田氏はこれまで、博報堂にてドミノピザのスマートフォンアプリ「Domino's App」や、Googleの「Tab Play Project」などに携わってきた。一方で足立氏は、Android向け文字入力アプリ「Shimeji」の生みの親だ。
そんな2人がこのサービスを提供するに至ったきっかけについて、稲田氏は「アプリは個人で作れる時代になり、“ソフトウェアの民主化”はできた。だが一方でハードウェアではまだまだだ。KickStarterやCAMPFIREの登場で、ようやくものづくりの可能性は見え始めた」と説明。
また、3Dプリンティングの特許についても言及し、「FDM(熱溶解積層法:プラスチックなどの素材を熱で溶かし、何層にも重ねて成形する方式)の特許が切れて安価な製品が出てきた。SLS(粉末焼結積層造形法:粉末状の素材をレーザーで焼結して何層も重ねて成形する方式)も2014年に特許が切れる状況。“ハードウェアの民主化”も始まりつつあると感じた」と語る。
商品価格や配送期間など、まだまだ課題も少なくない。「ジャストインタイムで製造するため、1週間から最長3~4週間かかることもある。そのためステータスを確認できるようにした。また原価はまだ高いが、いかにコストを下げれるかを話している」(稲田氏)。だが、ベータ版の反響非常に高かった。今後は外部との連携なども視野にサービスを拡大していく。
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