ウォンテッドは8月12日、ビジネスメールの署名を解析して連絡帳を自動生成するスマートフォン向けサービス「CARD(カード)」の提供を開始した。App Storeからアプリをダウンロードすれば無料で利用できる。IMAPに対応したメールサーバを利用している場合のみ利用可能。POP3では利用できない。
CARDは、ユーザーのメールサーバ上にあるビジネスメールの署名や送信情報などを解析し、名前や会社名、メールアドレスなどを抽出。その情報を使って連絡帳を自動で作成できるサービス。利用に際してはメールサーバのIDとパスワードを入力する必要がある。
作成した連絡帳は、名前や会社名、メールアドレスでの検索が可能。さらに、ユーザーが自身の情報をアップデートした際に、他のユーザーの連絡帳内に登録された自身の情報が自動でアップデートされる「ライブ機能」も備える。
ウォンテッドでは、CARDを「魔法のような無料名刺管理サービス」とうたっているが、実際のところ名刺をスキャンするといったことはせず、一般的に名刺と同じ内容が表記されているビジネスメールの署名のみを利用する。言うなれば「名刺をスキャンすることすら必要ない名刺サービス」といったところだろうか。
ウォンテッドといえば、ソーシャルリクルーティングサービスの「Wantedly」を手がけるスタートアップ。2012年1月末のサービス公開からこれまで、約1400社の企業と約5万人のユーザーが活用。採用事例は400件以上。2013年年初には単月黒字化している。
本業は好調だという同社だが、転職者だけにとどまらないサービスの提供を検討していたという。「我々は『シゴトでココロオドル人をふやす』をミッションに掲げてwantedlyを提供している。だが(Wantedlyのユーザーとなる)転職者というのは全人口の6%に過ぎない。より認知されるにはどうすべきかを考えていた」(ウォンテッド代表取締役の仲暁子氏)。そして、今すぐ転職するかしないかに関わらず、ユーザーが広義で「自分自身ための『チーム』を作る」という目的で利用できるCARDを開発するに至った。
将来的にはフリーミアムモデルを導入し、プレミアムサービスでの課金を検討する。だが現時点では、マネタイズはあまり考えていない。「まずはユーザーに受け入れられ、使われるサービスを作りたい」(仲氏)。Android版の提供なども視野に入れるが、「iPhone版でも至らない部分はあると思う。まずはちゃんと使えるサービスに育ててから考える」(ウォンテッド リードエンジニアの相川直視氏)としている。目標は3カ月で10万ユーザーの獲得。将来的には、1000万ユーザーが使うサービスを目指す。また、IMAPに加えてPOP3への対応、ソーシャルメディアアカウントの連携なども検討していく。
“連絡帳が自動生成される”という利便性がある一方で、気になるのは情報の取り扱いだ。同社ではメールの署名部分以外は判定次第解析の対象から除外し、さらに連絡帳に必要な情報かどうかを判断する以上の意味解析をしないという。また、規約やプライバシーポリシー、セキュリティ面でも弁護士などにアドバイスをもらった上でサービスを提供していると説明する。「実質的にはメーラーアプリと同じ動作(メールのチェック)を機械がやっているようなものだと考えている」(相川氏)。ただし、企業によっては業務上入手した情報を個人が勝手に利用することを禁じている場合がある。そのため同社では、就業規則などに反しないよう、自己責任で利用して欲しいとしている。
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