AOLを不振にあえぐインターネットサービス企業から、広告収入を軸としたデジタルメディア企業へと生まれ変わらせることで、会社を安定軌道に乗せた最高経営責任者(CEO)Tim Armstrong氏が、オンライン動画広告企業Adap.tvの買収を発表した。なおこの買収は、同氏がAOLで手がけたうちで最大規模のものとなる。
AOLによると、同社は動画広告の流通プラットフォームを手がけるAdap.tvを、現金と普通株式あわせて4億500万ドルで買収するという。今回の買収は、Googleにおいて広告販売の第一人者であったArmstrong氏が2009年にAOLのトップの座に就任して以来手がけた案件のうち、2011年の3億1500万ドルでのThe Huffington Postの買収を大きく上回る最大の案件となる。
AOLのこの動きは、Armstrong氏が同社で重視している対象を示すものとなっている。つまり同氏の関心は動画広告にとどまらず、プログラマティック広告モデルと呼ばれるものにも及んでいるということだ。Adap.tvは、ソフトウェアを用いて広告の売り手と買い手のマッチングを自動化するというプログラマティック動画広告の企業である。
Armstrong氏は同社の第2四半期決算電話会議のなかで「少しの間、会長やCEOとしての立場を離れて話をさせてほしい。Adap.tv買収に際して、より多くの株式を取得するために自らの資金を個人的に投資しなければならなかったとしても、私はそうしていただろう。この買収は両社にとってそれほど大きなメリットがあると私が考えているということだ」と述べている。
Armstrong氏は上記発言の前に、Adap.tvの買収によって、この業界で最も重要な成長分野と同氏が呼ぶところのオンライン動画分野においてAOLが「明確なグローバルリーダー」となるだろうと述べていた。
この買収の件に加えて、AOLは米国時間8月7日、2013年第2四半期決算(4-6月期)を発表した。前年同期にはMicrosoftとの特許契約によって11億ドル近い多額の収入があったため、今第2四半期決算の売上高は前年同期に比べると減少したが、最終利益は予想を上回った。
全体的にみた場合、AOLが7日に発表した決算によると、第2四半期の広告収入は前年同期比7%増の3億6120万ドルだったという。また、検索広告収入は前年同期比8%増、AOLウェブサイトにおける世界的なディスプレイ広告収入は前年同期比5%増だった。
インターネット接続契約料金の売上は前年同期比5%減の1億6600万ドルだった。
AOLによると、第2四半期の純利益は前年同期の9億7080万ドル(1株あたり10.17ドル)から2850万ドル(1株あたり0.35ドル)に低下したという。また売上高は前年同期比1.9%増の5億4130万ドルだった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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