ソーシャル旅行サービス「trippiece(トリッピース)」を手掛けるtrippieaceは8月6日、Draper Nexus Venture Partnersなどから約2億円の資金を調達したことを明らかにした。
trippieceは、ユーザーが通常の旅行会社では企画されないような独自のツアーを企画し、その企画に共感したユーザーとともに実現するというソーシャル旅行サービス。ユーザーの企画をtrippieceが旅行会社に提案してツアーを設計、販売。ツアー費用の一部が同社の売上となる。
同社の設立は2011年3月。2011年5月にサムライインキュベートから、2012年1月にはMOVIDA JAPANから、合計900万円の資金を調達。さらに2012年5月にはオプトから合計数千万円を調達している。また、旅行会社とのパートナーシップも積極的に実施。2012年9月にジェイティービー(JTB)と提携したほか、合計約10社の旅行会社と提携している。
これまで企画、開催したツアーは合計約220件。今夏開催する案件も含めて合計9600人がツアーに参加しているという。2~3月に開催したボリビアのマチュピチュ・ウユニ塩湖ツアーなどは、200人以上が参加した。
ツアーに参加するのは25歳~34歳が中心だが、マスメディアなどへの露出にともない、幅広い層のユーザーがツアーに参加するようになっており、そのリピート率は現在30~40%程度だという。業績は、大型の案件がある月などは単月黒字を達成するまでになっている。6月には、若者旅行を応援する取り組みが評価され、観光庁長官賞を受賞した。
「大事だったのは諦めなかったこと。1年ほど前には『ピボットするべき』という周囲の声もあったが、諦める理由がなかった。当初はうまくいっているように見せているところもあったが、『コンテンツによってニーズがある』ということが分かってきた。また、(ツアーの)道中の絵を見せること、仲間と出会う楽しさなどに注目が集まって徐々にサービスが大きくなってきている」――代表取締役の石田言行氏はこれまでを振り返る。
Draper Nexus Venture Partnersは、米国を中心に活動するベンチャーキャピタル。日本では、元日本アジア投資、JAIC Americaの中垣徹二郎氏がマネージングディレクターとして投資活動をしている。同社は7月にはソフトウェアテストを手掛けるSHIFTへの出資を発表している。
trippieaceでは、今回の調達を元に人材やマーケティングを強化。スマートフォン向けアプリの開発などを進める。「すでにスマートフォンからのアクセスが約6割。アプリでコミュニケーションの機能までしっかり提供していきたい」(石田氏)。また、「法人アカウント」の提供を開始。芸能事務所が芸能人とファンの旅行を企画するなど、法人のニーズにも応えていく。11月にはアジア圏に海外拠点を設立し、インバウンド(海外から日本へのツアー)向けの企画などを展開する予定だ。
また、今回の調達と同時に、元ミクシィ取締役執行役員CFOの小泉文明氏が同社の取締役に就任する。以前から同社に対する経営や財務面でのアドバイスなどをしていたという同氏。「ECはネットで割安になる商品が多い。一方でtrippieceは、コミュニティができて、メンバーがまたリピートするということで、(企画次第で通常の旅行より)値段が高くても価値を生み出すということを実現している。ウェブ上で『非日常』を生み出すプラットフォームに育てていきたい」と期待を語った。
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