Obama米政権は米国時間8月3日、Appleの一部旧型デバイスの販売を差し止める可能性があった米国際貿易委員会(ITC)の判断に対して、予想外にも拒否権を行使した。
この販売差し止めは、サムスンが同社特許のAppleによる侵害を訴えたことを受けて6月に入って決定されており、施行開始が5日から予定されていた。Obama大統領には、この決定について審査および介入するために60日間が与えられていた。ITCの決定に対する大統領の介入は1987年以来初となる。
今回の拒否権行使は、米通商代表Michael Froman氏からITC委員長Irving Williamson氏へと伝えられており、そのなかでFroman氏は、先の決定を認めないことに加え、その判断が米国経済における競争条件に与える影響と米国消費者に対する影響に基づいていることを述べている。具体的にFroman氏は、「革新と経済の発展」を促進するため、標準必須特許およびそのライセンス供与に対して細心の注意を払う必要が米国にはあると述べている。
サムスンは、今回の決定を受け、「ITCによって下された排除命令を米通商代表部が退ける決定をしたことを残念に思う」と述べた。「ITCの判断は、サムスンが誠意を持って交渉してきたこと、そして、Appleが依然としてライセンスを受けようとしていないことを正しく認めていた」(サムスン)
Appleは、声明において「米政権が、この大きな案件において革新を支持したことをたたえたい」と述べた。
ITCによる判断におけるサムスンの勝利で中心をなしていたのは、一部の旧型の「iPhone」およびセルラー対応「iPad」で使われている技術を対象とする無線通信特許だった。これには、AT&T向けに製造されたiPhone 4Sより旧型の機種、そして、3G対応の初代iPadとiPad 2が含まれていた。これらモデルの一部は、Appleおよびキャリアパートナーによって依然販売されていた。
多くの法律専門家は、今回の販売差し止めについて、Obama政権の介入もなく来週にも施行されると考えていた。その理由としては、ITCの決定に対する大統領による介入が過去26年間なかったことがあった。これには、2007年のBroadcomとQualcommの法廷での争いが含まれており、この件は、モバイルデバイス市場に対してより広範囲の影響を与える可能性があり、両社の和解により決着していた。
US letter on Apple sales in U.S.
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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