7月22日~7月28日のAppleに関連するCNET Japan/ZDNet Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。
先週はAppleの2013年第3四半期決算が発表されたり、先週から開発者向けサイトへの侵入に伴う大規模なダウンが発生したりとAppleにとってはニュースの多い1週間だった。Apple以外のテクノロジ企業の決算発表も続々と行われている。
モバイルデバイスに関連するSamsung、Microsoft、Nokia、HTC、BlackBerryはいずれも後退を示している。1つの見方として、中国の要因が見られる。製造面では中国の端末メーカーの台頭に対して、中国市場に強いSamsungも対処を迫られている。また中国の景気に対する先行き不安が表面化していた時期でもあり、その数字が反映されていることも考えられる。
一方、Facebookはモバイル広告の伸びが顕著だった。引き続き、モバイルアプリやプラットホームのビジネスは拡大基調を強めていくことになるだろう。
海外テクノロジ企業各社の2013年4~6月期決算(7月26日)先週のAppleに関するニュースを見ていこう。
Appleが発表した2013年第3四半期決算に関する数字をまとめておこう。
売上高はアナリストの予測の範囲をやや上回っていたが、iPad、Macの販売については前年同期を下回る数字となった。このことからも分かる通り、今期の決算の注目は予測を大きく上回ったiPhoneの販売についてだった。同期に販売されていたiPhoneは、iPhone 4、iPhone 4S、そして最新機種のiPhone 5だったが、販売比率はiPhone 5が最も多かったという。
また過去の併売モデルが新興国に広がっている点も指摘している。iPhone販売は、インドで400%、トルコで60%、フィリピンで140%となっている。しかし、本稿の冒頭でも指摘したが、中国での販売は前年同期比で4%減少しており、香港での売上減が顕著だったとしている。
AppleのCEO、Tim Cook氏は決算発表の声明で、iPhone販売が最大の貢献をしているとした。iPhone販売はAppleの収益の半分を超えている。またこれに伴うiOSプラットホームの収益源としての成長も指摘している。デバイスの出荷によってプラットホームの収益が向上する構造を実直に進めている、と言える。
Appleは新製品発表を秋に控えていることを認めており、例年のサイクルから見ても、iPhone、iPadの新機種が秋からクリスマスにかけて行われるだろう。これに伴う買い控えも見られている。10月に発表される2013年第4四半期決算の数字は、新製品のタイミングが遅れてしまった場合、もう少し弱い結果になる可能性もある。
アップルの第3四半期、「iPad」は販売減も「iPhone」販売は過去最高(7月24日)2013年第3四半期の決算発表でCFOのPeter Oppenheimer氏が、9月末までに発表することを示唆している。これは前にも述べたが、新製品群が10月に発表される決算に反映されるためにも不可欠である。Oppenheimer氏の「かなり忙しい秋になる」という言葉から、複数の新製品を用意していることがうかがえる。iOS 7に合わせた新しいiPhone、OS X Mavericksに合わせたMacの登場がそれぞれ期待できるだろう。
またCook氏は、「いくつかの驚くべき新しいハードウェア、ソフトウェア、サービスに懸命に取り組んでおり、今秋および2014年を通して紹介することが待ちきれない」ともコメントしている。
そんな中、先週、大画面のiPhoneとiPadに関するテストを行っているとのニュースが流れてきた。iPhoneは昨年、3.5インチから4インチにサイズアップしたが、他社は4.5インチ以上のスマートフォン、5.5インチ以上のファブレット(スマートフォンとタブレットの間)を展開し、顧客の多様なニーズをつかんでいる。
Appleはデザインや使い勝手の面、そして開発者のアプリ開発の円滑さを保つために、むやみな画面サイズの拡大を行ってこなかった。しかしiOS 7の開発環境は、これまで以上に自由な画面サイズでのアプリの動作を可能にすることを示唆している。Reutersの報道では、「2014年に4.7インチと5.7インチの大画面iPhoneを投入する」と報じている。
一方で、旧モデルを低価格で併売するこれまでの戦略に対する見直しもささやかれている。決算発表でも新興国でiOSプラットホームを拡大させる際に、iPhone 4やiPhone 4Sは非常に有効な製品となっている。2013年にiPhoneの新モデルが登場した場合、これまでの手法を継続すればiPhone 5が新興国向けのデバイスへと格下げされることになるが、より製造コストが安いデバイスへ転換する可能性もある。
アップル、大画面の「iPhone」と「iPad」をテスト中か(7月23日)Appleは7月18日に、開発者向けのサイトに攻撃があり、侵入者が開発者情報へのアクセスを試みたとして、サービスを遮断したという。これまでも機密情報は暗号化されていると言うが、セキュリティ強化の作業を行っており、先週は1週間、開発者向けサイトのダウンが続いていた。
またこれと関連性はないとしているが、iPhoneのアクティベーション処理にも不具合が発生していた。
Appleのサービス復旧状況は、こちらのページで確認できる。
今回のダウンでは、iOSやOS X向けにアプリを開発する開発者の一部が、AppleのOSやアプリのベータ版を実行できなくなり、アプリ開発に支障を来す結果となった。iOSもOS Xも今年秋に新バージョンがリリースされることがWWDC 2013でアナウンスされており、開発者がこぞって新しいアプリの開発に着手しているタイミングだったと見られる。
本校執筆の米国西海岸時間7月28日時点では、「Member Center」「Program Enrollment and Renewals」「Pre-Release Documentation」「Videos」など、開発者の会員管理の部分を中心に復旧がなされていないが、開発の実作業に関わる部分から順次復旧が進んでいる。
アップル、開発者サイトへの不正侵入を受けアクセス遮断(7月22日)その他のニュースで注目は、米国家安全保障局(NSA)によるデータ監視問題において、AppleやGoogleが更なる情報公開の許可を米国政府に求める動きがあった。この活動には、Apple、Google、Facebook、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、電子フロンティア財団(EFF)、アメリカ自由人権協会(ACLU)、全米税制改革協議会、FreedomWorksなどが参加している。
NSAのKeith Alexander長官はこうした考えに耳を傾けるとしたが、別の記事では、テクノロジ企業に対して、保管されているパスワードの開示を求める法的要請を受けたとの話が出された。これに留まらず、パスワードの暗号アルゴリズムとソルト(パスワード特定を難しくするランダムな文字列)の開示や、秘密の質問の要求も行われているという。ユーザーデータへの政府のアクセスについての問題はまだ、解決しそうにない。
アップルやグーグルら、さらなる情報公開の許可を米政府に求める--データ監視問題で(7月22日)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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