多様化するショッピング--O2Oとネットスーパーの伸び、「Amazon Fresh」への期待

小笠原亮(ドコモ・ドットコム)2013年07月19日 08時00分

 日々の食料品を買い求める際に、多くの人に利用されているスーパーマーケットは、イトーヨーカドーやイオンなどといった全国展開する大型店舗から、地域に密着したものまで、さまざまな店舗が存在している。そのスーパーマーケットは今、実店舗での販売に加え、ネットスーパーと呼ばれる宅配サービスを加速化し、利便性をより高める動きを見せている。

 実際、飲料系や油、醤油など、重くて運びにくい商品を自宅に届けてくれるサービスは、非常にありがたい存在である。また一定額以上の買い物をすると送料無料になるといったサービスもあり、まとめ買いをする際などは非常に嬉しく感じてしまう。今後高齢社会を迎えるにあたっては、その利用方法をどのように覚えてもらうかといった課題はあるものの、高いニーズが期待されるサービスであり、さらに利用が伸びるものと推測される。

ネットスーパーの伸び、自分で選びたい人向けのO2Oサービス

 国内におけるネットスーパー展開は、2000年代初頭から開始されるなど、かなり以前から展開されてきた。当初はネット環境やサービス環境、ユーザーのリテラシーなどさまざまな障壁があった模様だが、これら諸問題が解決され、かつ最近ではスマートフォンやタブレットの普及など大画面デバイスの普及もあってその売上は堅調に伸びている。実数値が公開されているイトーヨーカドーの推移を見ると、2007年(平成19年)には売上げ50億円・会員17万人であったのに対し、2011年(平成23年)2月期には350億円・116万人(前期比50億円増)に達しており、利用者の増加が顕著となっている(※参考:総務省 平成24年版 情報通信白書より)。

 ただし、個人的にもそうなのだが、生鮮食品については自分の目で確かめたいといった思いも存在する。数多く並べられた同一食材において、「こっちの方が安い」とか「こっちの方が新鮮そう」などといった独自基準にて選びたいという思いは皆さんもお持ちのことと思う。

 このようなユーザーにとっては、実店舗の情報が送られてくるといったO2Oサービスの存在がありがたい。セール情報等をデジタルチラシ化してユーザーにお知らせし、実店舗に誘導するといったO2Oサービスは、他店舗との比較がしやすいということもあり、注目を集めてきた。

 7月23日発行の弊社「スマートフォンレポート7月号」でも調査として取り上げたが、O2Oサービスはさまざまな業種において活用されている。特に、実店舗で購入した方が楽だったり、日々購入機会のある店舗、またお店でしか享受できないサービスの店舗、すなわちファーストフードやコンビニエンスストア、飲食店といった業種において高い利用傾向が表れた。スーパーマーケットもO2O施策が適合しやすい業種だと思われるのだが、現状では実店舗への誘導と同時にネットスーパーも拡大し、高齢者や育児中の主婦、共働きや自営業者など実店舗になかなか行くことができない消費者を含めた多種多様なニーズに応えていく、といった戦略をとっている模様である。

米国シアトルで先行する「Amazon Fresh」

 そのような中、米国のEC大手Amazonが、生鮮食品を扱う「Amazon Fresh」なるサービスを今後拡大していくことを明らかにした。これまでシアトルにおいて実験的に行ってきた同社の生鮮食品宅配サービスだが、次いでロサンゼルスでも展開しており、ゆくゆくは全米規模に拡大するとのことである。もしこれが国外にも進出し、日本でも利用できるようになったとしたらと考えると、非常に興味深い。

 弊社が2012年8月に実施したECサービスの利用動向調査では、利用するECサービスとして「楽天市場」と「Amazon」に多くの回答が集まった。すでに楽天では生鮮食品の取り扱いを始めているが、さらにAmazonが生鮮食品にまでその取り扱いジャンルを拡大するとなると、従来の買い物ついでに生鮮食品を買おうといったケースや、逆に生鮮食品を購入するついでにその他ジャンルの商品を買おうといった「ついで買い」も多数発生することだろう。

 また、これ以上サイトのアカウント(ID、パスワードなど)を増やしたくないと思っているユーザーにとっても、このAmazonの動きは嬉しいと感じられるに違いない。ただでさえ多くのアカウントを所有しがちなネット環境において、ひとつに集約できるというのは嬉しいことである。

 とはいえ、まだ米国でも試験的に実施されている段階であるため、日本国内での展開については、実現するとしても相当先のことであろう。加えて、食品に関しては地域の独自的嗜好といった要素も存在する。食品貯蔵や配送の問題なども含め、クリアすべき課題は山積みである。

 まずは全米での拡大展開において、その在庫管理や配達手法、各地域の嗜好性の反映などをAmazonがどのように展開するか、そして全米のユーザーがどの程度利用するかなど、その状況について追っていきたいと思う。その実績如何では、日本を含めた更なる事業拡大も可能性を帯びてくる。個人的には、Amazonで「ほうれん草1束と牛乳1リットル、ついでにゲームソフトとCDを1つずつ」などといった買い物を是非してみたいところである。

◇ドコモ・ドットコム
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