クラウドソーシング運営のランサーズ、グロービスとGMO-VPから約3億円を調達

岩本有平 (編集部)2013年05月21日 10時00分

 ランサーズは5月20日、グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)およびGMO VenturePartners(GMO-VP)を引き受けとした第三者割当増資を実施することを明らかにした。調達額は約3億円。出資比率は非公開。

 ランサーズはクラウドソーシングサービス「Lancers」を手掛ける。同社代表取締役社長の秋好陽介氏は、今回の調達をもとに、(1)セミナーや保険、税務の相談といったフリーランスの支援強化、(2)ランサー(仕事を受けるフリーランス)の7割を占める地方在住者の支援など、地域の就業機会の創出、(3)アジアを中心とした海外展開の準備――の3点を進めるという。また社外取締役としてGCP パートナーの高宮慎一氏が社外取締役となるほか、GMO-VPとは、送客をはじめとした協業の道も模索していく。


ランサーズ代表取締役社長の秋好陽介氏

 同社がLancersのサービスを立ち上げたのは5年前の2008年。だが、急激に環境が変化してきたのはここ2年の出来事だという。「2011年夏から案件、会員ともに一気に増えてきた。特に2012年夏以降は周囲の雰囲気も変わってきている」(秋好氏)。

 現在、ランサーズのユーザー数は13万9000人。案件数は14万2000件を越え、累計の仕事依頼総額は72億円となった。デザイン系の案件が特に好調で、プロジェクト型(プロジェクトに対して提案を出し、採択されることで仕事が始まる方式)、コンペ型(プロジェクトに向けて制作物を提案し、採択されると支払いがなされる方式)ともに案件数が増えているという。特に発注者を指名したプロジェクト型の案件では、8割が発注に至る状況だという。

 だが、業界での認知度の向上を実感する一方で、「クライアントの認知度はあまり変わっていない。まだまだ使われていない」と危機感も募らせる。今後は3つの取り組みを通じて、認知度向上、案件数増加を狙う。

 また並行して、業界のルール作りにも積極的な姿勢を見せる。「特にこの半年、リーガルチェックをはじめとしてさまざまな取り組みをしてきた。また、2011年頃から言われるいわゆる『ステマ(ステルスマーケティング)』の案件を防止する対策なども実施してきた」(秋好氏)

 今回の調達に先駆けて、ランサーズは本社を神奈川県鎌倉市から東京都渋谷区へ移転することを発表している。「落ち着いていて、仕事に集中できる鎌倉はエンジニア環境としては最高だと思う。だが、東京からの往復3時間を考えるだけでもチャンスを棄損しているところがある。1年前に鎌倉内で移転したが、そのときとは状況も変わってきた」(秋好氏)

 同社では数年以内の上場を目指す。「上場は明確に考えているが、まだまだ小さいビジネス。まずは業界全体を盛り上げたい」(秋好氏)

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