今後2週間、通信衛星や放送衛星などの人工衛星、全地球測位システム(GPS)での高精度測位の誤差の増大などに注意する必要がある――。独立行政法人の情報通信研究機構(NICT)が警告している。
NICTは5月13日~14日に合計4回の大型の「太陽フレア」と呼ばれる現象を確認、この現象に伴いほぼ同時刻に「デリンジャー」現象の発生も確認した。
太陽フレア現象とは、太陽の黒点群で生じる爆発現象。太陽フレアで強い紫外線やX線、電波などが放射されるだけでなく、高温のガスが放出される「CME」という現象が生じることもある。太陽フレアは、小規模なものからA、B、C、M、Xの順にクラス分けされる。今回確認された太陽フレアはXクラスになる。
デリンジャー現象は、太陽フレアの影響で地上50~500kmの“電離圏”の電子密度が高くなることで、地上からの電波は電離圏に反射されずに吸収され、周波数3~30MHzの短波の長距離通信に障害が起きる。短波より高い周波数の電波や中波などには影響が少ないとされている。
今回確認された太陽フレアでほぼ同時刻に、稚内や東京、沖縄の上空の電離圏で漁業無線や航空無線などの短波通信の障害、つまりデリンジャー現象の発生が確認された。
今回と同規模のXクラスの太陽フレアは、2012年に7回起きた。だが今回は2日間で4回発生した。この現象は2008年1月頃から始まった「第24太陽活動サイクル」では初めてという。太陽の活動はほぼ11年の周期で変動する。その周期的な変動をサイクルとして1755年から数えて、現在は24のサイクルと考えられている。
確認されたフレアは現在、太陽面の東端にある黒点群1748で発生。今後この領域は地球に対面する方向に移動する。黒点が地球に対面した形でフレアが生じると、高温のガスが地球に向けて放出されることになり、影響が大きくなる。
確認されたフレアと同規模の現象が、今後2週間以内に再度発生した場合には、人工衛星の障害や高精度測位の誤差増大、デリンジャー現象、送電線への影響が発生する可能性があり、注意が必要と説明している。
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