シャープは、6月25日付で現代表取締役 兼 副社長執行役員の高橋興三氏を社長に昇格する人事を発表した。これを受け、現代表取締役社長の奥田隆司氏と高橋氏出席の下、記者会見を開催した。
最初に挨拶をした奥田氏は「全社一丸となって構造改革に取り組んできたことが実を結び、2012年度の第1四半期を底に業績は回復し、社内外に約束した2012年下期の営業利益黒字化のめどがついた。当期純利益は残念ながら公表値を下回ったが、一連の構造改革については区切りがついたと考えている」と現状を報告した。
続いて「経営再建の道筋は立てられたが、この間62年ぶりの希望退職の募集や、給与賞与の削減と非常に重い痛みを強いたことは事実。経営者として大変重く受け止めている。こうした中今回役員人事を大幅に見直して、これまでのシャープと決別し、中期経営計画を元に2013年度当期純利益の黒字化を一丸となって完遂したい。そして新たな新生シャープを一刻も早く作りたいと考えている。その区切りをつけたいと考えた」と、社長退任を決意した理由を話した。
奥田氏が社長に就任したのは、2012年4月。わずか1年あまりでの社長交代となったことに対しては「在任期間は1年余りと大変短いものだったが、経営再建の指揮をとる社長として最低限の責任を果たしたと考えている。会長になってもこれまでの経験を生かしながら新社長を支えて行きたい」とした。
次期代表取締役社長となる高橋氏は「厳しい状況だが、各金融機関からの融資や取引先からのサポート、そして社員の必死のがんばりを見てきた。そしてこの話があったとき、私としては全力で取り組んでいこうと考えた」と振り返る。
高橋氏は1980年にシャープに入社。2008年には執行役員 健康・環境システム事業本部長、2010年に常務執行役員米州本部長、2012年に副社長執行役員営業担当兼海外事業本部長を歴任してきた。その経歴を奥田氏は「様々な部門を経験しており、これからシャープがグローバルに戦っていく素養を兼ね備えている。持ち前の非常に強いリーダーシップと営業センスを磨き、再生と成長を図って、必ずや新生シャープを作ってもらえると確信している」と評する。
それを受け高橋氏は「技術、生産、営業、マーケティング、企画といろんなことを担当してきた。いまこそすべての力を出すとき。再生を達成するだけではなく、同時に次の大きな成長に向けて社員一丸で動いていかなければならない。『誠意と創意』『お客様視点』という2つの経営信条の原点に立ち返って、厳しい状況から再生し、成長を果たしたい。果たさなければならないと考えている」とした。
なお、今回の役員人事において、現在取締役会長を務める片山幹雄氏は、退任しフェローになることが発表されている。片山氏の経営責任について問われると、高橋氏は「確かに大きな投資をしてしまった。しかし当時の日本の流れがそうだった。巨額投資ができる勇気ある人が必要だった時代。当時は私も含めシャープの人間は同じように判断していた」とコメントした。
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