Facebookは4月12日、Google Playストアでホームスクリーン環境Facebook Homeを公開し、これをあらかじめインストールしたいわゆる“Facebookフォン”、「HTC First」を発売した。以前「Facebookボタン」を搭載したスマートフォンを発売したのもHTCだったが、今回Facebookがスマートフォンのアプリ以上の環境に関与した初の試みとして注目された。
早速HTC FirstとFacebook Homeに触れてみて、その未完成度合いと示唆する未来について、考えていきたい。
まず、HTC Firstについてだ。
こちらはハイエンド端末ではなく、ミドルレンジのAndroidスマートフォンにあらかじめFacebook Homeを導入した端末だ。Android 4.1 Jerry Beansと1.4GHzデュアルコアCPUを搭載し4.3インチディスプレイを備え、重さは123g、薄さ8.89mmと非常に軽く作ってあると言った印象だ。角を丸く落とし、握りやすく仕立てている点もとても親しみやすい。もちろんスペックでは同様にFacebook Homeに対応するGALAXY SIIIから見劣りするが、動作も軽快で「ちょうど良いバランス」を感じられる端末に仕上がっていると言える。
端末の価格は、AT&Tとの2年契約を前提に99ドル、契約なしの場合は449.99ドル。ミドルレンジの新品Androidスマートフォンとしては標準的な価格と言えるだろう。
Facebook Homeを一言で言い表せば、Androidスマートフォン用のホーム画面環境、というのが実際のところだろう。というのも、Facebook Homeのウリとなる2つの機能「Cover Feed」と「Chat Head」のうち、後者は最新版のFacebook Messengerアプリを導入すれば、どんなAndroidフォンでも利用できるようになるからだ。
Facebook HomeのCover Feedは、電源ボタンを押してスマートフォンのスクリーンをONにすると、すぐに友だちがFacebookにアップロードした写真が流れてきて、写真をスワイプして次々にスクリーン全体で写真をめくっていくことができる。Instagramのように、写真をダブルタップすれば「いいね」が付けられ、コメントもすぐに閲覧、追加が可能だ。
つまり、Facebook Homeは、ロック画面を自分のニュースフィードから友だちの写真を抜き出してすぐに見ることができる環境を作り出している「だけ」だ。「だけ」と書いたのには、筆者の若干の失望も混ざっている。現状のバージョンのFacebook Homeでできることは、本当にこれぐらいだからだ。
Facebook Homeで自分の顔のアイコンをスワイプするとアプリのメニューやメッセンジャーアプリを起動でき、アプリのリストを開くとメニュー上部にすぐにFacebookへの投稿ボタンが用意されているが、AndroidのホームスクリーンにFacebookウィジェットを配置しておけば同じことだ。
写真をFacebookに投稿しようとカメラを起動しても、手順はFacebook Homeを導入していないAndroidと変わらず、共有メニューからGoogle+などをかき分けて「Facebook」を見つけなければならない。今のところは、Cover Feedだけが、Facebook Homeの最大の恩恵だと言える。
しかし、Facebookには独自のアプリ環境を持っており、iOSやAndroidのネイティブアプリとFacebookアプリのつなぎ込みもAPIによって可能だ。例えば、Facebookで見つけたInstagramの写真から、Instagramのアプリを起動してそちらでコメントをすることも簡単だ。こうしたスマートフォンにネイティブでFacebookにも統合されたアプリ群と、Facebook Homeとの連携はより深いレベルで達成可能なはずだ。
Facebook Home発表時に、Facebook Homeがどのレイヤーに位置するかを紹介したスライドがあった。スマートフォンがあり、Androidを下敷きにしてFacebook Homeが動作するというイメージだ。しかしFacebook HomeがFacebookアプリとの連携を強めることで、FacebookがOSを作らなくても、Facebook Homeがウェブと完全に連携したOSのような動作をすることはできるのだ。
現状のFacebook HomeはCover Feedが気に入らない人にとっては、あまり導入する価値はないだろう。しかし今後何が起きるのかについては、非常に興味深い取り組みだと言える。また、Facebook Homeをきっかけにした新たな気づきを与えてくれる。
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