Facebook Homeは未完成ながら、スマートフォンのユーザー体験の在り方について、今までのiPhoneやAndroid、各メーカーの流儀「以外」の方法があっても良いじゃないか、と言う気づきを与えてくれる。むしろ、今までのスマートフォン体験は、かなり回りくどかったんじゃないか、というやっかいな気づきになったかもしれない。
例えば、iPhoneにしろ、Androidにしろ、ちょっとした電車の待ち時間や移動中、カフェでコーヒーを片手に、Facebookアプリで友人の投稿を楽しんでいる人を街で見かけない日はなくなった。こうしたユーザーは今まで、スマートフォンの画面を点灯させてロック解除をし、Facebookアプリを起動して更新されたニュースフィードを見る、というのが一連の動作だった。これが、画面を点灯させるだけで済むのなら、ユーザーにとっては非常にメリットが大きいと言える。
またChat Headにしても同様の簡略化の効果が得られる。断続的なコミュニケーションの中で、今までいちいちアプリを切り替えてチャットに返事をし、再び元のアプリに戻るということを1日に何十回繰り返していただろうか。これがちょっとした割込で前後の文脈の確認と返事ができるようになれば、今までのアプリ切り替えの面倒くささが途方もないものであったと気づかされる。
もちろん人によって良く使うアプリやその使い方は違うが、多くの人にとって、現状のスマートフォンの環境は整理されていない状態にあり、Facebook HomeやOS自身がもう少し「オーガナイズ」してくれても良いんじゃないか、と言うことに、Facebook Homeを通じて気がついた。
2013年は、モバイル環境が大きく変わっていく1年になるかもしれない。
GoogleはGoogle Glassを披露し、AppleやSamsungは腕時計型デバイスの発表を示唆している。また、Appleは2007年以来のiOSのデザイン思想である「スキュアモーフィズム (skeuomorphism)」を脱した「ジョナサン・アイブ風」の新しいユーザーインターフェース環境を披露しようとしているように思われる。
ひとりのユーザーが操作もしくは連携するモバイルデバイスが増え、またソフトウェアのインターフェースデザインが変更され、ユーザーのモバイルにおける体験は大きく変革し始めることが示唆されるからだ。
Facebook Homeの登場は、我々がモバイルデバイスとどのように関わり、どんな体験をするのかを見つめ直すきっかけを、ぴったりのタイミングで与えてくれた。2012年までに作られてきたモバイル体験がどのように更新あるいは再構築されて行くのか、要望も含めて考え始めるには良いチャンスと言えるだろう。
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