2008年に日立製作所、パイオニア が相次いでプラズマディスプレイからの撤退を発表。パイオニアは2009年にプラズマテレビ販売からも撤退 、日立製作所は2011年にテレビ生産そのものを終了してしまった(生産を海外委託にして販売は継続)。残ったパナソニックも厳しい現状が続き、いわば旗振り役の退任という流れになった。
2012年のNHK放送技術研究所 (NHK技研)公開においては世界初のスーパーハイビジョン対応プラズマテレビが展示され、開発したパナソニックは「プラズマ技術の粋」を再び世間に示してみせた。が、これすらも「幕引きを行う上で技術者がケジメをつけただけ」(川田氏)と手厳しい評価があがってしまうのが現状だ。
家庭用テレビ市場において未来がないとなれば、デジタルサイネージで活況の業務用に一縷の望みを託したいところだが「長時間同じ映像を映すと焼きつきが起こってしまうなど、ライバルデバイスである液晶などと比べ決定的なデメリットがある」(川田氏)とのこと。もはやプラズマテレビは、21世紀最初の「遺物」となるまで秒読み段階に入っているかもしれない。
プラズマの息の根をとめるかもしれない液晶テレビに目を転じると、その発展をリードしてきたシャープが経営不振に苦しんでいるのは皮肉な状況といえるが「(シャープが)デジタル放送移行後の国内需要および世界的な売上不振の状況を読み間違えただけで、液晶テレビそのものは現在も進化を続けている。液晶、プラズマのさらに先を担うとして期待された有機ELすらも液晶が凌駕する勢い」(川田氏)だそうだ。
プラズマ死すとも、パナソニックは死なず――。培った技術やノウハウ、技術発展に向けて取り組んできた研究のすべてが無駄になるわけではないことは、先のスーパーハイビジョン対応テレビの件を見ても明らかだ。「直近で開発された56型有機ELディスプレイは素晴らしい完成度。巻き返すチャンスは十分にある」(川田氏)。海外メーカーの安値攻勢にもくじけず、その高い技術力をもって新たな発展へと取り組んで欲しい。
直近でパナソニックは、「フル・ブラックパネルIV」により、自発光パネルならでは色再現力と動画解像度を実現するビエラの最新プラズマテレビ機種「VT60/GT60」を発売する予定だ。
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