UPDATE GoogleとAppleのブラウザ技術は長年、いわば政略結婚のような形で結びついていたが、この関係がこのほど「離婚」を迎えることになった。
Googleは、「WebKit」ブラウザエンジンから派生した独自プロジェクト「Blink」を開始した。同社はこの動きについて、「Google Chrome」と「Safari」の両方を技術的に自由にするものだと説明している。Googleが米国時間4月3日に発表したところによると、初期段階ではWebKitベースのすべてのブラウザが共有しているものと同じソフトウェアコードベースを使用するが、時間の経過とともにまったく異なるプロジェクトに分離する予定だという。
この動きは、競合する2社の間で何年にもわたり続いてきた、WebKitプログラミングに関する直接的な協力関係に終止符を打つものだ。WebKitはオープンソースのプロジェクトで、誰もがこのソフトウェアを利用したり修正したりできるが、これまでGoogleとAppleはそろって同じコードベースに寄与してきた。Blinkでは、それぞれが独自の道を行くことになり、新機能の追加や新しいウェブ標準のサポートも別々に対応するため、相手の取り組みを活用することはできなくなる。
オープンソースプロジェクトにおける大きな「分岐」は摩擦を生み、後味の悪いものになることもあるが、ウェブプログラマー同士はある種の同僚のような関係にあるため、Blinkの場合そうしたマイナスの効果は抑えられる可能性が高いようだ。GoogleでChromeエンジニアリング担当バイスプレジデントを務めるLinus Upson氏は、WebKitをBlinkに分岐することには痛みを伴うが、その価値はあると主張している。
「これによって我々の側が動きを速め、残るWebKitコミュニティも動きを速めることができるので、最終的にはウェブ全体がより速く動けるようになると確信している」と、Upson氏は述べている。
Appleはこの件に関して、コメントを控えている。
WebKitはブラウザエンジンで、ウェブページの指示を処理し、コンピュータ機器の画面上に処理結果を描画する役割を持つソフトウェアだ。Googleは独自ブラウザを立ち上げる際の足がかりとしてWebKitを採用したが、現在ではそのChromeも十分に成熟し、自立が可能になった。
ただし、今回の分岐に至った理由は技術的な問題だけではない。これまでもWebKitの開発に関してはAppleとGoogleの間で意思統一がなく、両社のチームが共同で作業にあたる中でも主導権をめぐって緊張が絶えなかった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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