年に1度開催されるGame Developers Conference(GDC)は、ゲーム業界から数万人が集まるイベントで、2013年も任天堂やソニー、Electronic Arts(EA)、Activisionといったおなじみの主要メーカーが顔をそろえた。しかし先週GDCにやって来た重要なメーカーは、それだけではなかった。
「OUYA」が注目を集めている。これは価格が99ドルの新しい「Android」搭載ゲーム機で、アメリカンフットボール選手のAdrian Petersonがタックルを破るように、Kickstarterの記録を破っている。
熱心なゲームファンから猛烈な抗議を受ける前に、はっきりさせておきたいことがある。OUYAが、「PlayStation」や「Wii」のような従来のゲーム機の役割に取って代わることはない(ただし「Wii U」は行き詰まっているが)。しかし筆者は、OUYAはゲーム業界における重要な傾向を表していると思う。それは「アプリ化」だ。
アプリ化というのは、特定分野のあらゆるものがアプリに移行するというプロセスのことだ。それはウェブでも起こっているし、ゲームでも起こっている。その背景には、「iOS」やAndroidのアプリストアの大成功がある。
アプリはディスク版のゲームよりも安い。アプリならばすぐに満足を得られる。車を運転してゲーム販売店の「GameStop」まで行く必要はない。さらにアプリであれは、バスに乗っているときに時間をつぶすためのゲームが欲しいだけの、たくさんの一時的なユーザーもアクセスできる。
OUYAは、こうした傾向を表す最新の例に過ぎない。この傾向によって、数多くの開発者がゲーム機用ゲームの開発を安価に行えるようになった。ゲーム機用の楽しいゲームを作るのに何百万ドルもかける必要はもうない。さらに、OUYAに近い将来「BioShock」が登場することはないだろうが、筆者は大手ゲーム機メーカーが、Androidをベースとするライバル製品を見習おうとするのではないかと考えている。あとどのくらいたてば、ゲームディスクが完全になくなる日が来るのだろうか。
筆者はゲーム好きだ。「Final Fantasy」や「Super Mario RPG」「METAL GEAR SOLID」で育った。だからゲーム機でプレイするゲームには思い入れがある。しかし筆者は、400ドルのゲーム機の時代は終わり、99ドルのゲーム機の時代が始まりつつあると本気で思っている。「Steam Box」、NVIDIAの「SHIELD」、さらに「Wikipad」「Gamestick」はどれも発売に向けて準備中だ。そしてAppleは「Apple TV」にサードパーティー製アプリを加えないだろうとあなたが考えているとしたら、それは単なる思い違いだ。
METAL GEAR SOLIDがすたれることはない。しかし、特にインターネットの速度が向上し、フラッシュドライブの容量が増えることによって、より多くの「ハードコア」なゲームがアプリ化され始めても驚いてはいけない。さらに言えば、開発者がオープンプラットフォームを活用するようになるにつれて、ゲーム機向けのゲームの品ぞろえが大幅に増えても、驚くにはあたらない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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