グリーン基地局には太陽光発電のパネルが備えられており、昼間は太陽光の発電を中心に利用しつつ蓄電池に充電し、夜間は蓄電池からの電池で発電できるようにする仕組みとなっている。また太陽光の発電量が多い基地局から発電量が少ない基地局に対して電力を融通するなど、スマートグリッド的な要素も備えている。
グリーン基地局のフィールド試験は10局で予定されている。そのうち神奈川、東京、山梨の3局が設置を完了しており、4月から試験が開始される予定だ。また検証のため、それぞれの基地局にはいくつかの相違点が設けられているとのこと。まず神奈川の基地局では蓄電池にリチウムイオン電池を、東京ではニッケル水素電池を用いている。また山梨の基地局では、既存基地局の太陽光発電装置を太陽光パネルのみ最新のものに差し替え、グリーン基地局へ転用したものとなっている。
最後にドコモの無線開発部がLTE-Advancedに向けた取り組みについて説明した。LTE-Advancedは既存のLTEと互換性があり、複数の異なる周波数帯域を束ねて伝送速度を高速化するキャリアアグリゲーション(CA)や、異なる複数の基地局を同一エリア内に混在させて重ね合わせ通信容量を増加させるヘテロジニアスネットワーク(HetNet)などの技術を用い、仕様上では下り最大3Gbpsの通信速度を実現できる仕組みとなっている。
ただし、CAは混雑時の速度改善が限定的となる、HetNetでは基地局の増加によるハンドオーバーの頻発などで安定性が落ちるなどの課題を抱えている。そこでドコモでは、マクロセルの中に“アドオンセル”と呼ばれる小型の基地局を複数配置し、アドオンセルの配下でCA技術を用いることで、高速化と大容量化をはかる「高度化C-RAN」を導入。これにより、諸問題の解消をはかっているという。
またLTE-Advancedの伝送試作装置を用いた屋内での無線伝送実験も公開。基地局側に移動機より多くのアンテナを用意することで、複数のユーザーに空間多重の自由度を振り分ける下りリンクマルチユーザーMIMO(MU-MIMO)を実装、4つのアンテナを備えた基地局から、2つのアンテナを備えた2つの移動局に対し、同時に無線データ通信する実験を実施した。1ユーザー当たり500Mbps、合計で1Gbpsの伝送を実現する様子を確認できた。
これは屋内での実験だが、ドコモでは続けて屋外での伝送実験も実施。屋内と同様の仕組みを使い、合計1Gbpsのスループットを達成する様子を公開し、2015年のLTE-Advancedサービス開始に向け、順調に開発が進められていることをアピールしていた。
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