サムスンがNYのド真ん中で「GALAXY S IV」を発表した意味

 米国というスマートフォン市場の「本丸」を本気で落としにかかるサムスン——。

 米国時間3月14日(日本時間15日午前)に開かれたサムスンの「GALAXY S IV」(GS4)の発表会。その中継動画(註1)をYouTubeで見ながら、頭の中に思い浮かんだのはそんな一節だった。

 今回の発表でアップル相手の頂上決戦、場合によっては最終決戦ともなる戦いの火ぶたが切られたのかもしれない。

 以下は、この話題について担当編集者とメッセンジャーでやり取りした内容を整理したものだ。今回の発表は、スマートフォンやガジェットが好きな若者、あるいはITに普段から親しんでいる社会人層といった漠然としたセグメントに対してメッセージを送る内容ではなく、本丸・米国の「お茶の間」=米国の文化と社会、そして全米国民を意識したマーケティングではないだろうか。

なぜNYか、なぜミュージカルか

 GS4発表で最も目を惹いたのは、製品自体のスペックや機能、ましてや「iPhoneと比べてどうよ?」などという「ITらしい」ことがらではない。演劇・ミュージカル仕立てという発表形式と、その舞台となったラジオシティ・ミュージックホールというハコの方だった。

(上掲のビデオは、The Vergeが「まったく奇妙」と評し、CNETのモリー・ウッドが「ショックなほど(時代錯誤で)性差別的」と息巻いたブロードウェイ・ミュージカル風のプレゼン)

 S2の発表はソウル、S3の発表はロンドン、そして今年はニューヨークか——。「Samsung Unpacked」と題されたイベントが開催されると発表されたときには、すでに主催者側の米国市場に対する意図は見て取れた。

(GS4発表イベント前宣のストリートパフォーマンス)

 最近のニュースでも報じられたとおり、世界のスマートフォン市場において、台数ベースでは既に圧倒的に優勢な立ち場にあるサムスン。そのサムスンは、アウェイの米国市場でいまだにナンバー2に甘んじている。ホームチームがアップルだから、それも致し方ないことだろう。

 しかし、現在世界でもっとも多くのスマートフォンが売れる中国で首位に立ち、これからの大きな成長が期待されるインドでもすでに4割ほどのシェアを押さえている(註2)。

 今のサムスンにとって残された課題は米国市場——それもハイエンドの領域で、年間を通じてトップに立つことくらいしかない。同時に米国のスマートフォン市場は日本と同様、すでに成熟段階に入っているとされる。そういうノビシロの限りが見えてきた市場では、戦いが「ゼロサムゲーム」にならざるを得ない。ゆえに米国でiPhoneのユーザーベースを切り崩せれば、これまでアップルに流れていたモバイル端末の利益も自然と懐に転がり込んでくることになる。

 そういう背景を踏まえると、サムスンにとっての「頂上決戦」という見方ができよう。

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スマートフォンベンダーの出荷台数とシェア(出典:IDC

 ところで。

 年輩の読者の中には、80年後半から90年代初めにかけて日本企業が世界を席巻していた時代を、まだ微かにご記憶の方もいるだろう。

 当時はソニーがコロンビア映画を買い、松下電器がユニバーサル映画を買い、日本企業の行いが米国で大いに波紋を呼んでいた。

 なかでも一番大きな衝撃を与えたのは、三菱地所によるロックフェラーセンターの買収だ。

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