サイボウズは2月14日、記者会見を開催し、平成24年度12月期の連結業績を説明した。売上高は、決算月の変更を考慮した実質値で微増、営業利益および純利益はともに減少した。クラウド型グループウェア「cybozu.com」などクラウド分野への集中投資を継続し、「クラウド顧客の約7割がサイボウズにとって新規」というほど新規顧客を増やした一方、従来型のパッケージ製品の販売が想定より減少しなかったことに手ごたえがあったとする。1月から始まった17期も大きな戦略転換はせず、クラウド重視を最優先する一方で、パッケージ製品の販売を改めて重視する方針を示した。
同社は2012年4月開催の定時株主総会で、決算期をそれまでの1月31日から12月31日に変更したため、この日発表の16期の数値については変則的に、2012年2月1日から12月31日の11カ月が対象期間になっている。そのため、12カ月決算だった15期との単純比較はできない。
16期の売上高は41億4000万円で、前年である15期の42億2500万円を下回った。しかし、前年同期間(2月から12月)と比較すると5.8%増えている。営業利益率は15期の15.8%から12.0%に低下。当期利益率は15期の9.4%から5.9%に低下した。cybozu.comなどのクラウド関連サービスの開発や広告宣伝への投資を増やしたことが背景にある。
一方、貸借対照表では、資産が前期から2億4600万円減って54億2600万円だった。青野慶久社長は「営業キャッシュフローはプラスだが、自己株式を取得したことで現預金を中心に流動資産が減少した」と説明している。負債は、複数年を含む年間サービス契約の前受け金が増加したため、2億7900万円増加した。純資産は、自己株式取得に5億9900万円、剰余金の配当金を1億9900万円計上したことで、計5億2500万円減少した40億6300万円となっている。
16期のトピックとして青野氏は、cybozu.comにおける遠隔バックアップ体制の確立と、休日および夜間の障害窓口設置などを挙げた。東日本にあるデータセンターで14日分のバックアップを取る一方、日次でそのデータを西日本のセンターに移しているという。
「このバックアップ体制を持ちながら、1人あたり数百円という利用料は確実にユーザーのメリットになる」と青野氏は自信を見せた。現在、クラウドサービスの有料契約者数は3000社を突破。16期の自社クラウドサービス売上高は2億6000万円に達した。一方で、累積の投資額は25億円を超えたという。
中堅中小企業におけるITアプリケーションのベンダー別導入顧客数のシェア調査(2012年度ノークリサーチ)で、サイボウズはユーザー企業4万社超を数え、対前年比4.5%増の31.5%で1位を獲得した。2位は12.9%のLotus Notesだ。青野氏は「ここに不気味な存在が」と前置きしながら、4.9%で5位のGoogle Appsを気になる存在として挙げた。
青野氏は、サイボウズはクラウド開発プロジェクトにおいて、垂直統合モデルによる一貫した開発体制を持っていることを強みとして強調。具体的には、スマートフォンアプリ開発ソフトウェアの「KUNAI」、UIデザインのプロジェクト「UI/UX、UT」、アプリのロジック部分となるプログラム群「Office、Garoon、Kintoneなど」、オンデマンドの販売管理システム「Izumo、Backyard」、ユーザー管理などのミドルウェア製品「CyDE-C、Slash」、サービスの安定運用と監視のためのツール群「Hazama、Village、Square」、ハードウェアと仮想化の「Forest」などを指す。
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