しかし真のカンファレンス参加者ならば、価値が存在するのはカンファレンスの中身ではない、つまりパネルとショー会場のフロアではないと言うことだろう。これはBuchanan氏も指摘していることだ。
数字を厳密に見れば、CESは決してゴーストタウンではない。しかし、参加する価値は副次的な部分に存在するという傾向がますます強くなっている。広告主はメディア業界の幹部陣に会い、マーケティング企業はクライアントへの売り込みを行う。
ただし、CESはそれ以上のものだ。筆者が気づいたトレンドが1つある。それは、ホテルのスイートルームでの会議(と時折開催されるコンサート)を目当てにCESを訪れるエンターテイナーとハリウッドの幹部陣が増えているということだ。それらの人々は、自分たちの世界がテクノロジの世界とぶつかり合っていること、そしてテクノロジの世界と協力する方法をもっと多く見つける必要があることを理解している。
それでは、彼らはなぜCESにやって来るのだろうか。答えは簡単だ。CESよりも多くのテクノロジ業界関係者が一堂に会するカンファレンスは、South by Southwest(SXSW)しかない。人々は4日間の期間中、ジャーナリストやマネージャー、相手先ブランド製造業者(OEM)、投資家と何度も会合を持つことができる。複数の業界のリーダーが1カ所に集まるのは非常に稀なことだ。そして利口な人々は、そうした重要なリーダーたちが集まっている状況を活用する。
CESは、ブロガーや業界の幹部陣が不満に思わずにはいられないショーだ。しかしそれでも、彼らはCESに大挙して押し寄せる。そうした状況がすぐに変わるとは筆者は思わない。
パネルとショー会場のフロアは意味のないものになった、というのがCES(とテクノロジカンファレンス全般)に関する真実だ。テクノロジ企業は独自のカンファレンスやプレスイベントで自社製品を発表するようになった。このトレンドは、AppleがMacworld Expoへの参加を取りやめたことをきっかけとして本格的に始まった。
それは、世界最大のガジェットショーであるCESが重要ではなくなったという意味ではない。ほかのあらゆるテクノロジカンファレンスと同様に、CESも進化したという意味だ。そして、ハードウェアが初めて披露される最前線という地位をCESが取り戻すことは二度とないだろうが、CESが消滅するといううわさは、大げさに過ぎるものだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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