フランスで開催されたテクノロジーカンファレンス「LeWeb'12」で現地時間12月4日に発表されたEvernoteの法人向けサービス「Evernote Business」について、日本向けの説明会が12月6日に東京で開催された。
これまで米国や日本をはじめとして10カ国でサービスを展開してきたEvernote。Evernote Japanジェネラルマネージャーの井上健氏によると、現在のユーザー数は買収した企業のサービスも含めて4500万人に上るという。1年前のユーザー数は2100万人だったため、この1年で2倍以上になった計算だ。
そのユーザーのうち66%は、仕事でEvernoteを利用している。そのため法人向けサービスのニーズは以前から高かったという。こうした中で、Evernote自体が従業員280名、世界各国に拠点を持つという規模の組織に成長しており、情報共有が困難になってきた。こうした背景もあって同社ではサービスのコンセプトについて「Build for Ourselves(自分たちのために作る)」を掲げてきたが、自社の問題解決に向けても法人向けサービスを開発する必要が生まれてきたわけだ。
そこでEvernote Businessの開発に着手した。当初は8月に開催した自社イベント「ETC Conference 2012」にあわせて発表しようとしていたが、直前になってクオリティに納得がいかなかったことから急きょ発表を中止。サービスを改善した上で今回のリリースに至った。
Evernote Businessは、米国、日本のほか、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、スイスの7カ国でサービスを展開する。日本での料金は1ユーザーあたり月額900円(米国では10ドル)。ユーザーはそれぞれ、個人のノート(テキストや画像など、Evernote上に保存するデータ)を2Gバイトまで、企業や組織で共有できるビジネスノートを2Gバイトまで毎月アップロードできる。
これまで個人利用を前提としていたEvernoteだが、Evernote Businessでは、(1)知識の蓄積、(2)知識の発見、(3)企業向けの管理機能――の3点を強化した。
まず知識の蓄積に向けては、個人のノートと企業が管理するビジネスノートをそれぞれ用意し、1つのインターフェース上で管理できるようにした。1つの画面に個人のノートは茶色、ビジネスノートはグレーでそれぞれ表示される。また、ビジネスノートの管理が可能な「ビジネスライブラリ」も用意した。このライブラリではすべてのビジネスノートを閲覧できるが、ユーザーが選択したものだけが、個人ノートとともに表示されるようになる。
また知識の発見に向けては、ノートの閲覧や作成中に、その内容をリアルタイムに解析し、関連する個人ノートやビジネスノートを表示してくれる「関連ノート機能」を用意した。
さらに、専用のコンソール画面を用意してユーザーやノートの管理などを簡略化。これまで個人で利用していたユーザーについても、招待メールを送ることでEvernote Businessの利用ができるようにした。また、前述のアップロード容量はプレミアムユーザーの2倍に設定している。
同社では今後、セキュリティを強化した大企業向けサービスの提供や、APIの公開なども検討している。
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