ジャストシステムは12月4日、日本語ワープロソフト「一太郎2013 玄(げん)」を、2013年2月8日に発売すると発表した。
今回の「玄」は、優れた作品を評する「幽玄の境地」からとったもの。一太郎2013 玄では、書き手の感性を刺激する新機能に力をいれたという。
2012年に発売した「一太郎2012 承(しょう)」」で電子書籍フォーマット「EPUB 3.0」に対応し、従来のワープロソフトという位置付けから個人向けの電子出版ツールとして舵を切った。従来の一太郎ユーザーだけでなく、新たなユーザーも取り込めたとし、ジャストシステム コンシューマ事業部企画部の大野統己氏は、「反響は想定を上回るものだった」と話す。
「ここまで来ると、電子書籍の機能をプロシューマーの存在のためにも変えていかなければならない」と意気込む。電子書籍市場は、数多くのハードウェアが登場しているのに対し、「オーサリング環境は大きな存在は未だにない」とし、個人電子書籍制作環境のデファクトスタンダードを目指すとした。
一太郎2013 玄では、書き手に執筆の糧となるインスピレーションを与え、より深みのある表現に導くツール「感太」を搭載。一太郎の画面上に、ことばと写真・イラストを組み合わせたカードを、一定の周期で切り替えて自動提示し、書き手が文書作成のヒントや新しい発想を得ることを支援するもの。
独自の日本語形態素解析技術で解析し、文書内容を判断して季節や時間帯などさまざまな条件に基づき、書き手にとってインスピレーションを得やすいカードをさりげなく提示するという。およそ2000語を収録しており、気に入った画像は電子書籍などにも利用できる。商用利用も可能だという。
複数の写真を選んで、レイアウトのパターンを選ぶだけで、写真をきれいに一括配置する「写真をまとめてレイアウト」機能を搭載。設定ダイアログ上で写真をドラッグするだけで写真の配置を変えられる。写真に番号を付ける機能も搭載し、文書内で写真に触れた説明が容易にできる。
また、そういった雑誌のような凝ったレイアウトの文書を簡単に作成できるよう、電子書籍リーダ上で意図したとおりに表示できる「EPUB」の「固定レイアウト型」の保存に対応するなど、電子書籍作成ツールとしても進化した。今後は、2013年春をめどにKindle向けのフォーマットで出力できるようにしていくという。
このほかにも、文章校正支援ツール「Just Right!」のエンジンをベースにした校正機能や入力しながら誤字脱字を防ぐ、日本語入力システム「ATOK 2013 for Windows」を搭載。Windows 8に完全対応し、Windowsストアアプリ上でも、タッチキーボードでもスムーズに入力できる。ATOK 2013 for Windowsの発売に先駆けて、プレビュー版を公開中だ。
なお、一太郎2013 玄のほかに、統合グラフィックソフト「花子2013」、読み上げソフト「詠太3」、国語辞典「デジタル大辞泉 for ATOK」や、美しくて読みやすい活字書体「秀英体」を搭載した上位版「一太郎2013 玄 プレミアム」(2万6250円)と、高性能な音声認識ソフト「ドラゴンスピーチ11J」などを同梱した最上位版「一太郎2013 玄 スーパープレミアム」(3万4650円)を同時発売する。
中でも「秀英体」は美しさと読みやすさに定評があるフォントで、「秀英明朝L(細)、M(中太)、B(太)」と「秀英横太明朝M(中太)、B(太)」の計5書体を収録。
秀英明朝L/M/Bを「本文」、秀英横太明朝M/Bを「見出し」として使用することを想定。秀英体は、漢字に対して仮名が小ぶりなため、長文を読んでも疲れにくく、特に秀英横太明朝は文字の横罫が太く、文字の輪郭がはっきりしているため、タイトルや見出し部分での利用に最適だとしている。
なお、秀英体は、「一太郎2013 玄」のほか、OpenTypeに対応したほかのアプリケーションでも利用可能。フォントを埋め込んでPDF化でき、「EPUB」の「固定レイアウト型」で保存すれば、電子書籍でもその美しく読みやすい書体を利用できる。
製品ラインアップは下記のとおり。
製品名 | 価格 |
---|---|
一太郎2013 玄 | 2万1000円 |
一太郎2013 玄 プレミアム | 2万6250円 |
一太郎2013 玄 スーパープレミアム | 3万4650円 |
花子2013 | 1万290円 |
JUST PDF 3 [作成・高度編集・データ変換] | 1万1580円 |
ジャストシステム代表取締役社長の福良伴昭氏は、ジャストシステムの現状について「上場以来の最高益を出した」と意気込む。11月にクラウド型の小学生向け通信教育「スマイルゼミ」を発表。「大きな反響をいただいている。オープン後はジャストシステムの柱となる事業と手応えを感じている」とし、今後は新商品や新サービスの売上げを伸ばしていくことに取り組むとともに、新しい商品、サービスを積極的に立ち上げていきたいとした。
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