若い世代の「ウェブメーカー」育成に世界の力が集結--Mozilla Festival開催へ

別井貴志 (編集部)2012年11月09日 16時28分

 Mozillaは、11月9日から11日まで英国ロンドンで「Mozilla Festival」を開催する。このイベントの目標は、オープンウェブの開拓を進め、共に学び、世界を変えられるものを作ることとしており、若い世代やコードを書く人、デザインする人、ジャーナリスト、教育関係者、映画、ゲームを制作する人など、40カ国以上からおよそ800人が参加する。

Mozilla Foundationの常任理事であるMark Surman Mozilla Foundationの常任理事であるMark Surman

 Mozilla Foundationの常任理事であるMark Surman(マーク・サーマン)氏は、開催に先立ち、「ちょうど1年前にロンドンで第1回目を開催し、ウェブを理解するための取り組みを研究するために何百万人という人たちを動かそうと試みた。この1年、Mozillaは世界中の同じ志を持つ人たちを見つける努力を続けてきたが、大きな動きをさらに結集させていきたい」と抱負を語った。

 Mozillaは、2012年に優先的に注力する分野として、「Firefox」、「Web apps」、「ウェブメーカー」を掲げてきた。今回のMozilla Festivalは、このウェブメーカーにあたり、「ウェブメーカーの世代を築くこと」を目標に「何百万人もの人たちをウェブのユーザーからウェブの作り手に変える」として、特に若い世代に対して活動してきた。ウェブメーカーとは、「オープンな精神と構成要素でものをつくる人」と定義されている。ウェブメーカーのプロジェクトにおけるMozillaの代表的なプロダクトは、ビデオ制作、編集の「Popcorn maker」があり、ウェブメーカー用に開発された初のソフトウェアだ。

 Surman氏は「12歳から15歳の子供たちにアンケートを実施した。54%の子供たちが、ウェブページを作っていろんなことをやってみたいと答えたが、実際にはどうやってウェブページを作れるのか知っている子供は3%ぐらいしかいなかった。そのため、若い世代にウェブページの構築の仕方などを提供したり、教えたりするのはたいへん意義がある」と続けた。そして、「読み書きや算数以外にウェブメイキングも教育の一環として、これからは必須科目としなければならないだろう。英国の親の60%はウェブページなどを構築するのはいいことだと言っている。コーディングなどを学習して、ウェブページを自ら作れるような能力を学校で教えてもらうのはいいと。つまり、デジタル知識率を高めていくことが重要だ」と声を高めた。

 ただし、こうした動きを加速し、着実に進めるためにはMozillaだけではなく、同じ志を持っている人たちの力を結集させることが重要だと説き、その具体的な話として、このウェブメーカープロジェクトにおけるパートナーシップを結んだ2者をイベント前日の11月8日に発表した。

 まず、ソーシャルインベスターのNominet Trustで、インターネットを社会的に役立てる活動をしている組織に対して資金提供している基金だ。社会的な問題をテクノロジで解決するためのプロジェクトを導入したり、支援したりしている。今回のパートナーシップでは、若い世代から高齢者まで、さまざまな社会問題をデジタルテクノロジーやインターネットを活用して解決していくことを、Mozillaなどと共に担っていくことを目的としている。

Nominet Trustの開発研究員であるKieron Kirklond氏 Nominet Trustの開発研究員であるKieron Kirklond氏

 Nominet Trustの開発研究員であるKieron Kirklond氏は、「英国では6000万人の人たちがオンラインのスキルを持っていないということが明らかになった。インターネットは英国経済の8%に該当する。2015年までには12%になると言われているので、大きな産業ということは紛れもない。デジタル製品やサービスはより重要度を増していくので、これをきちんと扱える若い世代を教育していかなければならない。デジタルテクノロジーが我々の生活にどういった影響を及ぼしていくのかを理解することが重要で、こうした取り組みに協力して参加する人たちを幅広く募らなければならない」と語った。

 もう1つは、イノベーションの慈善団体であるNestaで、英国内における公共サービスの中で、インターネットなどデジタルテクノロジーをどうやって奨励していくか、調査や資金提供などの支援活動をしている。

NestaのデジタルエデュケーションディレクターであるTom Kenyon氏 NestaのデジタルエデュケーションディレクターであるTom Kenyon氏

 NestaのデジタルエデュケーションディレクターであるTom Kenyon氏は「スマートフォンやPCで使うものだけではなく、冷蔵庫から自動車まであらゆることがコードによって動いている。これを踏まえるとデジタル知識率を上げていかなければならない時代になっているといえよう。テクノロジこそがまさに世界を変えるツールになっている。若い世代は扱い方も含めてデジタルテクノロジをしっかり学ぶことがきわめて重要で、こういったスキルを育成することに尽力している人たちは多いが、そうした力をパートナーとして結集することが大事なことだ。若い世代の人たちを惹きつける活動を展開していきたい」と語った。Nestaは、ウェブメーカーのプロダクトに対して資金提供している。

 今回のパートナーシップでは、総額で22万ポンド(約2800万円)まで資金提供する予定だ。これは第1ラウンドで、状況によっては第2ラウンドで追加支援していく方針になっている。

 今回のMozilla Festivalではウェブメーカーのプロダクトとして、Popcorn makerに続き、ニュースや記事を共有したり、その共有のアイデアを交換したりする場となる「Open News」も紹介される。

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