ヤフーが“スポーツ”をテーマにしたハッカソン--石巻で見えた課題

藤井涼 (編集部)2012年10月31日 09時30分
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 ヤフーは11月14日と17日の2日間に分けて、公益財団法人スペシャルオリンピックス日本(SON)と共同で、開発イベント「Y!Open Hackathon(ハッカソン)『スポーツ Hacks feat.SON』」を開催する。

 スペシャルオリンピックスは、知的発達障害のある人たちのスポーツを支援する国際的な組織。幅広いスポーツのトレーニング環境を提供するとともに、その成果の発表の場である競技会を年間を通して開催している。今回のハッカソンでは、“ITの力でスポーツをもっと楽しく”をテーマに、SONが抱える課題を解決するソリューションの開発を目指す。

 ヤフーでは、これまで半年に1度のペースで社内開発イベント「Hack Day(ハックデイ)」を開催してきたが、2012年4月からはこれに加えて「Y!Hackathon」という開発イベントも毎月開催しており、社会における課題解決をテーマに、新サービスの開発に取り組んでいる。

  • ハッカソンから生まれたアプリ「ロック学習帳」

 たとえば、“節電”をテーマに5月に開催されたハッカソンで発表された、近くの涼しいスポットを調べられる「みんなの涼み場」や、“子供の学習体験をもっと楽しく”をテーマに6月に開催されたハッカソンで発表された、問題を解かないとスマートフォンのロックが解除できない「ロック学習帳」などは、実際にヤフーのサービスとして公開されている。

 これほどハイペースに社内でハッカソンを開催するのには2つの狙いがあると、ヤフーCMO室の武居秀和氏は説明する。「1つ目は、社員のクリエイティブマインドを変えていくこと。それが結果的にヤフーサービスの質の向上につながると思っている。もう1つは開催ごとに確実に成果を上げること。宮坂CEOからも『今後生まれるヤフーのサービスの半分は、ハックデイやハッカソンから生むくらいの気持ちで挑戦してくれ』と言われている」(武居氏)

 7月には宮城県石巻で開催された開発イベント「石巻Hackathon」に、エンジニアのサポートという形でヤフーも参加。同イベントでは“被災地が抱える課題を解決するITソリューション”をテーマに、各チームからさまざまなアイデアが開発・発表された。一方で、それらのツールをITリテラシーが高くない人でも使いこなせなければ、現地で継続的に運用していくのは難しいという課題も浮き彫りになったという。

 「ITだけで解決できる部分とそうではない部分があった。石巻が抱えている課題の多くは日本の地方に共通しているもので、震災だけが影響を及ぼしたわけではない。(石巻Hackathonでは)そのなかでITの力でできることを考えたが、そのあと継続的に運営できる形に落とし込む作業には、社内のハッカソンにはない難しさがあった。そのあたりは今後の課題」(武居氏)


ヤフーCMO室の武居秀和氏

 スポーツ Hacks feat.SONは、社外の団体と共同で開催する2度目のハッカソンとなる。石巻Hackathonではあらかじめ現地で参加者を確保していたが、今回は初めて一般の参加者を募集するという。開催案内ページで約50名の参加者を募り、ヤフーの社員50名を合わせた計100名による開発イベントになる予定だ。

 イベントでは、まず11月14日に理事長の有森氏が講演し、SONが抱える課題を共有。その後、チームごとに課題を解決するためのアイデアを発表する。そして11月17日に、それらのアイデアをもとにITソリューションを開発し、その場で審査と表彰をする。優秀賞に選ばれた作品はSONが採用することを前提に開発を継続する権利を得られるという。

 武居氏は「このイベントでSONが抱える課題をすべて解決できるとは思っていないが、少しでも多くの人にSONの存在を知ってもらえるきっかけになればいい」とコメント。また今回はSONからハッカソン開催の提案を受けた形だが、テーマによってはヤフーからも積極的に社外に提案していきたいとした。

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