ヤフーは7月27日~29日の3日間にわたり、宮城県石巻市の石巻工業高校で、短期集中型の開発イベント「石巻Hackathon(ハッカソン)」を開催した。イベントでは、各チームにより「被災地が抱える課題の解決」をテーマにしたさまざまなソリューションが発表された。
イベント終了後、ヤフーCMOの村上臣氏に、石巻でハッカソンを開催した狙いや、イベントを通して感じたことを聞いた。
ハッカソンは短期間で課題を集めて成果をアウトプットするイベントなのですが、今回「石巻2.0 」が現地でビジネスを生み出していく中で、ハッカソンをやるということなので、ぜひうちのエンジニアも参加させて、一緒になってやっていきたいなということで開催にいたりました。
ただし、これまでは自分の会社のことでしたので、まったく関係のない方と課題を共有して何かをやるというのは初めての経験です。今回はダイビングショップの方や漁師の方と一緒にチームを組んでいますが、そもそも地方の産業のビジネスモデルのことを我々は知らないんですね。農家さんがどうやって日々商売しているのか、漁師さんがどうやって儲けているのかということも。
ですので、現地の方に直接困っていることを聞きながら、「そういう場合はヤフオクのような仕組みで何かやろう」と議論しているのを見ていると、社員が地方の課題に対してITで何か解決できるんじゃないかと真剣に考える機会になったとは思います。若いエンジニアなどは特に。これは両者にとって非常にいいことだと思います。
それと若い社員同士が、自分の本業とは関係なく、純粋な好奇心や興味でつながりはじめると、そこで得た人脈やノウハウが本業にすごく活きてくると思うんです。本業で何か困ったときに、前に同じチームだった人にアドバイスを求めたり、そういう有機的なつながりができてくるとヤフー全体としての開発力も上がると思っています。
「Fishinomak」は個人的におもしろかったですね。ビジネスモデルもさることながら、やはり無料って強いですから。プレゼンの資料については、Mayukariが一番よくできていた。型を踏襲してる優等生的なピッチでしたけどね。H&Yは、見せ方がかなりヤフーのハックデイに近い感じでした。ものを綺麗に見せて、お化粧されたプロトタイプで攻めるというか、これもまたおもしろいと思います。
H&Yの提案した新たなメディアサイトなどは、もともとメディアとしてのヤフーと親和性が高いので、何か一緒にできればなという部分はあります。あと繭クラフトなどECにかかる部分はうまく復興デパートメントとつなげられると思います。「俺の魚市場」なんかも、復興デパートメントの一部として、実際にやればいいんじゃないかと思います。
最終的にはモバイルを使わないといいサービスにはならないと思っています。最近は、結構モバイル=アプリみたいになっていますが、それはあまり本質的じゃなくて、単純にアプリが流行っているからアプリを作っているにすぎない。
本来的には全然デバイスとは関係ないプラットフォームがあって、その上で各デバイスにどういう役割分担をさせるのか。もちろん一気通貫で使えるのも重要なのですが、このユースケースはスマホですごく使えるとか、ここはガラゲーじゃないととか、市場と役割によっていろいろと使い分けが出てくると思います。そこをもう少しみんなよく考えて、プレゼンがされるとよかったと思います。
ハッカソンは継続的に3カ月に1回は石巻でやろうと個人的には決めました。今度は石巻事務所のコワーキングスペースでやりたいですね。今回のような「Startup Weekend」(ビジネスモデルを競うイベント)形式もいいのですが、ヤフーのハッカソンのスタイルでもやっていければいいなと思います。
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