砂賀氏:基本的なポリシーとして、課金をしなくても楽しめるゲーム設計ということを各タイトルとも意識して作っています。やはりゲームなので、まずはユーザーに楽しんでもらうというところが前提としてあって、そのあとのやり込み要素だったり、奥行きの部分で課金という選択肢も用意しています。
たとえば、課金したユーザーと無課金のユーザーのレベルの差をあまり設けない設定だったり、他のゲームだと課金しなければ手に入らないアイテムなどもあるのですが、D2Cのゲームでは課金しなくても頑張れば手に入るといった、無課金を前提にすべてのコンテンツを設計しているところはこだわりをもっていますね。
山口氏:D2Cのスタンスとしては、社会的に何か迷惑をかけたり、悪い印象を与えることなく、最もユーザーに喜んでもらえる方法として無課金を選んでいます。また、どちらかというと無課金にすることなどによって、ユーザーに長く遊んでいただいた方が、マーケティング的にはメリットがあります。
もしそのユーザーに対して何かしらの情報を提供するような、広告マーケティングとしてのシナジーを生みやすいのは、やはり長期に使ってもらうことと、そのサービスにロイヤリティを感じてもらうことが一番です。そのため我々はおもてなしも含めたサービスとして、ゲームを提供することにはこだわりを持っています。
砂賀氏:無課金のゲーム設計もご評価いただいているのですが、そのほかには不具合に対してスピード感、誠実さをもって対応するということが挙げられると思います。やはりソーシャルゲームを開発する上で、どうしても不具合は避けられないところがあると思いますので、不具合が起きた際には即座に対応するとともに、不具合の内容をユーザーにお知らせし、課金でしか手に入らないアイテムをお詫びとしてお渡しするといった対応をとっています。
山口氏:私たちにはゲーム運営の経験がなかったので、1作目の関ヶ原演義を公開した当初はかなりご迷惑をおかけしました。不具合の発見が遅かったり、ユーザーサポートもなかなかすぐに対応できる体制がなく、そこに対して最初の2~3カ月はユーザーからもお叱りを受けていました。そこで、春ごろからサポート体制の改善にも取り組み、その効果もあってか現在はいずれのタイトルも高い評価を得ることができています。そういう意味で、ユーザーの皆さんに磨いてもらったという気持ちが強いですね。
山口氏:全社的にコンシュマービジネスに積極的に投資していくという方針にはまったく変わりはありません。おかげさまでソーシャルゲーム市場ではいいポジションにいるので、この優位性を確保したままさらに伸ばしていきたいと思っています。
ただしソーシャルゲームの領域でいうと、マーケティングやプロモーションが非常に難しくなってきていると感じています。というのも、競合からもたくさんのゲームが出てきているため、プロモーションコストが私たちが2〜3月に展開していたころよりも何倍にも膨れあがっていて、おそらく他のゲーム会社もすごく疲弊をしていると思います。
ですので、私たちはソーシャルゲーム開発で得たノウハウを、今後はそういった方たちを支援するために活用する。商材だったり、ノウハウだったり、一番いいのは広告なのですが、そういったものにちゃんと変えてサポートしていく。そこももう一つの大きな軸足ですね。つまり、ソーシャルゲームの成長がD2Cそのものの成長につながるということです。
2015年を越えてくると誰もがスマートフォンを持つようになって、より多くのサービスも提供されるようになるので、これまでテレビや雑誌に出していた広告をスマートフォンで出そうという一般の広告主も増えてくると思います。そうなればスマートフォンの広告事業でも安定した収益が期待できますが、この2~3年に関してはおそらくソシャルゲームやアプリを作っている方しか儲からない市場ですので、我々のノウハウを開発者のサポートにもつなげていきたいですね。
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