画像SNSといわれる「Pinterest」。まだ英語版しかないため、日本では利用者が少ないが、5月に楽天による出資が発表され、日本でも一躍、名が知れることになった。ローソンのように、Pinterestを使って日本国内でキャンペーンを行う企業も登場している。
ここ一年ほどで、利用者を急速に伸ばしているPinterestだが、今年8月、ユニークビジター数は月2300万人に達し、ページ閲覧数は月17億を超えている(参照グラフ)。
Pinterestは、ウェブページをブックマークするように、ネット上で気に入った画像や動画を見つけたら、自分のオンラインのボードに貼り付けられるバーチャルスクラップブックのようなものだ。ボードはカスタマイズ可能で、収集した画像はカテゴリ別に分類できる。
他のユーザーのボードにある画像は、自分のボードに貼り付ける(Repinする)こともできる。また、気に入ったユーザーをフォローすることもできるし、他のユーザーの個々のボードだけをフォローしたり、コメントしたりすることも可能だ。
今のところ、米国では、女性ユーザーが大半で、ピンされる画像には、家庭装飾品などが多い。たとえば、結婚式の準備、家のリフォームや室内装飾アイデアに役立つ画像をネット上で収集する目的などで使われている。米軍の中でも一番マッチョな海兵隊では、女性(人口)への働きかけが足らないとの観点から、結婚式に特化したPinterestのページを設けている。
Pinterestが注目されているのは、利用者がピンする画像をクリックすれば、その画像が掲載されたリンク元に飛ぶため、元のサイトへのアクセスが増える点だ。Pinterestからのアクセスが大幅に増えたというオンラインショップもあり、販売商品の画像をボードに貼り付けるための「ピン」ボタンを搭載するオンラインショップや情報サイトが増えている。
今年1月~8月には、Pinterestによるトラフィック誘導が、Yahoo!検索を抜いて、GoogleやFacebookに次いで、第4位となった(参照記事)。
たとえば、家の装飾を考えているユーザーは、ネットのあちらこちらから家庭装飾品の写真を探してきて、ボードに貼り付けるわけだが、その利用者のフォロワーがその写真を閲覧し、クリックするたびに、その商品販売元としては宣伝となる。食べ物の写真をボードに集めている利用者も多いが、これは、食品販売サイトや飲食店などの宣伝となる。
また、米国では、売買物件の写真を掲載する不動産業者も多い。不動産業のように視覚に訴えることの必要な商売には、買い手がさまざまな物件の写真をネット上に簡単に集められる機能を提供するPinterestは、非常に適しているといえるだろう。最近では、金融機関もPinterestを使い始めており、Visaでは、プリペイドのデビットカードを宣伝、American Expressでは、インフォグラフィックスを使って、中小企業向けサービスを宣伝している。
Pinterestでは、まだ自社の収益モデルも固まっておらず、サイトにトラフィックは誘導してくれるものの、本当にEコマース(ネット販売)につながるのかを疑問視する声もある。
そうした中、独自でPinterestを自社商品の販売につなげようという企業が登場している。Amazonが買収したZapposでは、Pin Pointingというサイトを立ち上げたが、これは個々のユーザーのPinterestでの掲載画像(ピン)に応じて、同社販売の商品が提案されるというものだ。ピンポインティングに掲載された画像をピンすることもできるし、Zapposのページに飛んで購入することもできる。
また、Walmartが新たに開発したEコマース検索エンジンでは、Facebookでの「いいね」やPinterestでのピンが、検索結果に反映されるようになっている。
楽天がPinterestに出資したのは、Eコマースとの連携効果を狙ってのことだが、今後のEコマース展開、収益化が期待される。
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