小澤氏:ビズシークは株主であるベンチャーキャピタルから。その際に声がかかっていた中から楽天と話を進めた。クロコスについては、すでにヤフーからの増資をしていたので、そこで話が出てきた。
後者のようなケースは結構多い。楽天時代にもあったのだが、出資に向けてデューデリ(デューデリジェンス:調査)をやると、実は非常に伸びそうな事業だと分かり、「どうせなら全部やらせてもらえませんか」という話になる。
小林氏:増資とM&Aについて並行して検討していたが、数社から「買いたい」と言われていた。そこから話を進めてきた。
小澤氏:取締役までは意志決定が必要なので話すが、社員については2回とも先方と握手をして値段や条件を決め、サインをする前のタイミングになってからだった。ただ、タイミングについてはケースバイケースで難しい。
社員からの反対は結論から言えば2社ともなかった。最初はびっくりするが、先方の社長とも会ってもらって、何が心配かということも話した。実は契約面だけでは分からない部分がすごく重要。買収後に社員がやめる、やる気がなくなるといったことが起こる。マネジメント上で重要な人間は退職に数年のロックがかかるが、社員とのコミュニケーションには気を遣う。
小林氏:正式に社員に発表するのは、M&Aの直前。だが個人的には事前に少しずつ話をしていった。
小澤氏:そもそもポジティブなM&Aというのは1割くらい。残りの9割は買収ではなくほとんど救済。二束三文で買われてしまう。
そんなポジティブなM&Aでの失敗例は人が辞めてしまうこと。親会社とのコミュニケーションがまったくうまくいかなくなってしまうケースもある。自由にやっていたからうまくいったという会社も難しかったりする。海外の会社がM&Aするとなおさらそうなる。
たとえば楽天でも、楽天トラベルや楽点GORA、楽天証券などがうまくいっている例だ。しかしその後ろには、何十倍もの失敗がある。
小澤氏:、M&Aの価格。「できるだけ高く売りたい人」と「できるだけ安く買いたい人」の交渉なので、どこで折り合いつけるかが難しい。
そのほかにはキーマンズクローズや諸条件はあるが、買収後のコミットメントも重要。自由にやらしてくれるのか、何をやらしてくれるのかということ。だが、握るべきなのは自分が「何のために(M&Aを)やるのか」ということ。
小林氏:一般的なケースを言うと、揉めるのは価格とキーマンクローズ。細かいところはたくさんあるが、そこが重要。
小澤氏:そういう言い方はしない。繰り返しになるが、重要なのは何を成し遂げるために会社を作ったか。「この事業をやるためにはここ(買収先)に行ったほうが絶対いい」と考えるなら、M&Aは自然な流れ。
小林氏:アジアのアドネットワークやっていたが(自社だけでの)限界を感じていた。そこで伸びていけば楽しいが、途中で売ることも考えていると社員とも話した。早い時期から話していたので全然問題なかった。
小澤氏:結果的には全員楽しくやったし僕自体も楽しかった。当時の楽天のように、あれだけ急成長している場所に行くのであれば、メリットとデメリットでメリットが大きい。一緒に来た人間とも「すごいところに来たね」と話した。
小林氏:人生ずっと事業を作り続けたいと思っている。借金で苦労した時期もあるが、もっともっとやっていきたい。
ノボットはチームで経験を共有出来たのがよかった。1年で売り上げが10万円から1億円になった。海外のイベントに出るという経験もして、スタートアップのトレンドを会社のみんなと作ることができた。
急成長は麻薬みたいなもの。目標を作り、それをクリアしていく経験がシェアできるとやめられないと思う。
小澤氏:できるだけ楽しいことをたくさんやっていきたい。お金にならなくても、豆まきもNPOもやっていきたい(編集部注:小澤氏はCivicForceやJustGivingなどNPOの理事や「すごい豆まき」なるイベントの実行委員長も務めた)。
小澤氏:大きく2つある。1つは昔からの友達であること。もう1つは社長がとにかく優秀なこと。
グリーやディー・エヌ・エー、ミクシィだって創業期とはビジネスモデルが違うし、あの頃のプランだとここまでになっていないと思う。だからビジネスプランではなく、ダメだったときに社長がどう修正するか。コミュニケーションをとって、そのやりとりを見ていきます。
ビジネスプランも一緒に考えます。逆にプランを持ってきてもらったものは失敗しているケースが多い。YJキャピタルではすでにプランのある企業に投資するので、(自身にとっても)チャレンジだと思う。
小林氏:投資をするのであれば、自分の手金で何千万円、何億円と出さないとしたくない。起業家と投資家の利益は相反するところもあるので、起業家の立場に立って投資するのは難しい。だから今のところエンジェル投資は考えていない。
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