福岡最大の繁華街である天神からほど近い大名。ファッションやビジネスの中心として盛り上がるこの場所に、福岡の起業家やクリエイターが集まる「GuildCafe Costa(Costa)」がある。
Costaを運営するのは、コスタリンク代表取締役CEOの青木亮介氏だ。青木氏はかつて商社に在籍していたが独立し、個人でコンサルティング業に携わっていた。同時期にIT関連の友人が立て続けに起業を決意し、その相談を受けている中で、彼らに対して場所を提供できればという考えが生まれたという。
「10年近くバーテンダーもやっていた経験がある。カフェとオフィスのスペースが一体化するような場所があれば、オフィスのための負担が減り、起業の仲間の支援ができると考えた」(青木氏)。そんな思いの中で現在のテナントを発見。2011年9月にコスタリンクを創業し、Costaをオープンした。
Costaはビルの2階と3階に入居している。2階はカフェスペースとなっており、30名ほどが利用できる。3階のオフィススペースには、全部で24社が入居可能だ。利用するのは、IT関係をはじめ、コピーライターなどのクリエイターなど。東京の企業が福岡の拠点として利用するケースも増えているという。
青木氏によると、福岡はもともとIT企業やフリーランスの多い土地なのだという。しかし、自分たちだけでオフィスを借りるコストは大きい。そのため、福岡でもこうしたシェアスペースの需要は高いと感じている。
それと同時に考えているのが、福岡の企業同士のネットワーク強化だ。東京から離れていることから、ともすればネットワークの小ささが閉鎖感をもたらしてしまう可能性もある。カフェのように外部の人と気軽に交流できる環境を作ることで、「外からの刺激を感じられる環境を作り、福岡が盛り上がっていくようになっていく」(青木氏)
コスタリンクはまた、自ら営業をかけて案件を受注し、プロジェクトベースでCostaに集まるフリーランスのネットワークで仕事に取り組むという試みを行っている。スペースの名前の由来でもある「ギルド」のように、さまざまなチームを形成して案件に取り組むことで、適材適所の仕事に取り組める。スペースに出入りする個人や企業の特性や強みを知っているからこそ、そうした取り組みができるのだという。
「企業間の交渉ややりとりをコスタリンクが受け持つことで、フリーランスの人たちが安心してデザインやエンジニアリングなどの仕事に取り組める。個人でできる仕事には限界があるが、そこをコスタリンクが支援することで、少しずつ大きな仕事を回していけるようにできる」(青木氏)
地方では受託制作を請け負う企業や個人が多い。だからこそ受託で資金をため、その資金でサービス開発に取り組むための環境を作ることが大事だという。安心して仕事に取り組める環境を作ることが、新しいサービスなどに取り組む企業を増やすことになるのだ。
「コスタリンク経由で、東京から福岡への仕事を増やすことができる。そして2階(カフェスペース)でプロジェクトを回したのちに起業してもらい、3階のオフィススペースへ入居してもらう。そして自社サービスが立ち上がれば、インキュベーターを紹介する。道筋を作ることで、起業の環境のハードルを下げていきたい」(青木氏)
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