logo

次に「来る」インターネットビジネスの条件は?--起業家やVCらが熱論

岩本有平 (編集部)2012年07月05日 18時07分
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 上場企業のキーマンやベンチャーキャピタリスト、気鋭スタートアップの経営者ら200名以上を集めた招待制イベント「B Dash Camp 2012 Summer in Niigata」が7月5日から6日にかけて開催されている。

 このイベントはベンチャーキャピタルのB Dash Ventures代表取締役社長の渡辺洋行氏、AOLオンラインジャパン TechCrunch Japan編集長の西田隆一氏らが中心となって企画したもの。各種セッションに加えて、スタートアップと大企業のマッチングを主眼に置いているという。

 イベントの1つめのセッションでは、サイバーエージェント・ベンチャーズ(CAV)取締役の大下徹朗氏、ノボット代表取締役社長の小林清剛氏、ヤフー執行役員CMOの村上臣氏、リブセンス取締役の桂大介氏が登壇。西田氏がモデレーターとなり、「次に来るインターネットビジネスは何だ?」というテーマでのセッションを行った。

3年後のビジネストレンドは?

 登壇者はまず、自己紹介とあわせて「3年後にトレンドとなっているサービスは何か?」について自身の考えを語った。

 ノボットの小林氏が挙げたのは「カーナビ」だ。Google マップに加えて、Appleも独自のマップサービスを開始するこのタイミング。現在はネットの常時接続が難しいカーナビもよりネットに繋がり、新しいサービスが実現するのではないかというのが同氏の考えだ。

 リブセンスの桂氏はユビレジが手がけるiPadを使ったPOSレジシステム「ユビレジ」、三三の名刺管理サービス「eight」の名前を挙げ、「今まで専用のハードを必要としていたものが、汎用的なハードとアプリで実現できるようになった。それがおもしろいのでは」と語る。

 CAVの大下氏は、「華やかではなくて、地に足がついたビジネス」と語る。同社の直近の投資先であるA-STARは、5月下旬に創業した人材サービスの会社だ。CAVでは6月下旬に同社に出資したが、間もなく粗利1000万円を達成するという。

 ヤフーの村上氏が挙げたのは「近未来予測、レコメンデーション」がトレンドになると語った。

 カルチュアコンビニエンスクラブやクックパッドとの連携など、最近は「爆速」をテーマにサービスのスピードアップを図っているヤフー。投資や買収については「我々はファンドではないので、キャピタルゲインは考えない。手を出そうとしていることについて、『時間を買う』という感覚」だという。中でも今集中するのはスマートフォン分野だ。

スタートアップでもハードウェアビジネスは近い距離に

 登壇者からカーナビやスマートフォンという回答が挙がるなど、これまでに比べてハードウェアとサービスの結びつきが求められるようになってきたが、では新しいハードウェアの登場はすなわちスタートアップの成功となるのだろうか。

 大下氏はハードウェアの普及度合いを考慮しないと、その成功は難しいと語る。同氏はもともと2000年頃にサイバーエージェントで広告営業を担当していた。その頃から、現場では「行動ターゲティング」の可能性について話題が出ていたが、実際行動ターゲティングが使われるようになったのは約5年後。「(トレンドについて)『○○元年』と言われるところから、3年から5年はかかる」(大下氏)。Kindleやkobo Touchといった端末の登場で盛り上がる国内の電子書籍市場についても、「米国と環境も違い、まだ時間がかかるのではないか」(大下氏)とした。

 小林氏が、スタートアップが参入する可能性のあるデバイスとして注目するのはスマートテレビだ。Googleがメディアプレーヤーの「Nexus Q」を発表したほか、ソニー、Vizioなども続々と既存のテレビに接続するデバイスを発表している。これらのデバイスによってテレビがPCより利用されるようになった時にこそ、テレビ向けのサービスを提供することにチャンスが生まれると考える。

 また、ハードウェアの製造がこれまでより小ロット、安価に製造できるようになり、損益分岐点も下がってきた。そんな今だからこそ「モノ」と「サービス」をつなげて成功する会社が登場することを期待すると村上氏が語った。

 将来トレンドになるサービス、ハードウェアとサービスの連携などを語った登壇者ら。ここで西田氏が彼らに対して、「もし無一文でビジネスをやるとしたら何をやるか」と尋ねた。

 大下氏は投資家としての視点から「成功する必然性がなければやってはいけない」と警告する。桂氏は「trippiece」「ドリパス」「Kickstarter」といった“企画ありき”のサービスを挙げた。これらは方法が違えど、企画を提示してそれに対してお金を集め、黒字化が見えたタイミングで動き出す種類のサービスだ。

 村上氏はtrippieceなどの「体験を売るビジネス」に興味があるという。村上氏は加えて、エネルギー分野など、「非ITだがソフトウェア技術を生かせる分野」にも興味があるとした。小林氏は、ここまでに話題になったテレビ、カーナビなどの「次に来ることを想定できる分野」と回答した。

「海外進出」は本当に重要なのか

 最近は海外での事業展開を目指すスタートアップが多い。西田氏は最後の質問として、登壇者にどこでビジネスを始めるべきか尋ねた。

 桂氏と小林氏は日本での起業を勧める。言語の壁がないだけでなく、IPOの基準も若干緩和され、上場というエグジットも見えてきた。また何より、ユーザーの近くに居ることは、サービスを行う上での大前提となる。

 一方で村上氏と大下氏は日本にこだわる必要がないという考え方だ。村上氏は「プラットフォームを統一しても、結局は現地の事情次第」と語る。また桂氏と小林氏同様、サービスを行う際にはユーザーの近くに拠点を持つことは重要だと説いた。

 大下氏はこういった意見に加えて、事業モデルによって目指す場所を考えるべきだとした。例えばソーシャルゲームなどは上位数社が“勝者”とも言える市場だ。その一方で、ナンバーワンにならないと“敗者”となってしまうサービスもある。サービスを立ち上げる際、そこをロジカルに決めておくことこそが重要だとした。


左からAOLオンラインジャパン TechCrunch Japan編集長の西田隆一氏、ノボット代表取締役社長の小林清剛氏、リブセンス取締役の桂大介氏、サイバーエージェント・ベンチャーズ取締役の大下徹朗氏、ヤフー執行役員CMOの村上臣氏

-PR-企画特集