井口:あらゆるものが可視化される“スケスケ社会”(詳細は前編を参照)において、インタレストによって人とつながるものを作りたい。今後は店舗がヘビーに使えるようにしたり、情報を発信しているユーザーと店舗とがコミュニケーションをより図れるようにしていきたい。店舗にとって貴重なユーザーには、ホスピタリティをもって接していけるものにしたい。
谷口:今のECは雰囲気もなければヒューマンケアもない。「ただ購買するだけ」という行為のみだ。しかし、興味関心を喚起され、購買に至るという一連の行為はもっと価値のあるもの。だからこそ、「人がどこにお金を使うか」が大事になってくる。店舗とユーザーが顔の見える関係になることでコミュニケーションが促進され、よりリアルな世界が活性化する。
井口:CRMや顧客マネージメントなどのロジックだけでなく、人の行動や興味関心を可視化し、さらにお客さんが自発的に情報をキュレーションしていき、物語を付与させる。見たくもない広告ではない、ユーザーがtab上で作る独自の切り口や特集によって、店舗も気づきを得ることができる。店舗とユーザーがつながり、関係性を深めていく。顔が見える関係でのやりとりによって、すべてがいい方向に進む。
井口:かつて「ユースレス」という言葉で表現したのだが、PinterestやTumblrは好きなものを集めて、眺めて、シェアして、うれしい、現状はただそれだけ。そこからは何も生まれない。オンラインのコミュニケーションがあってもそれで終わり。我々がtabを通じて一番伝えたいことは「Interest to Action(興味関心を行動へ)」。人が関心を持ったものを簡単に発見し、アクセスできて、さらに体験や購買ができるメディアだ。
谷口:受動的に情報を見ているだけだった人に、能動的な行動を促すのが、tabの本質です。土日にずっと家でネットばかりで外に出ず、気づいたら行きたかったイベントに行けずじまい--なんていう生活から脱却する機会を提供する。
結局、人との出会いはリアルなコミュニケーションに依存する。どんなにオンラインでつながっても、直接会って話したり食べたり体験したりして、五感を使った行動には勝てない。だからこそ、リアルの空間における行動を促進することで、世界が変わっていくんではないかと。
谷口:セカイカメラでの経験だが、サービスを立ち上げたときにコンテンツが何もないと寂しい。一定のコンテンツがない空間で使う意味がない。
だが、「tab it」で情報を発信すること自体には地域は関係ない。たとえば、二子玉川の情報がたくさん発信されると、その地域でも使えるようになってくる。つまり、ユーザーがある地域で積極的に情報を発信すれば、その地域での利用が可能になる仕組みだ。これまでのサービスは、運営側で操作して解禁の具合を調整していた。しかしそうではなく、ユーザーがムーブメントを起こすことで利用の幅が広がっていく仕掛けであり、ユーザーが増えていけば利用地域が増えていく。地元の人による、地元のための活性化ツールとしても是非活用してもらいたい。
井口:渋谷と銀座は利用の年代が違う活発なエリア。そして、今後はそれぞれの地域のエバンジェリストが登場し、自分たちの地域の面白さを掘り起こして発信していく。店舗の情報以外にも、アートやデザインなどさまざまな情報が可視化される。東京でも地方でも、これまで気づかなかった街の情報が可視化されることで、地域活性をはかることができる。
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