ソーシャルメディア上の複数の友人で、誕生日を迎える友人などにプレゼントを送るサービス「ミナオメ」。このサービスを提供するMUGENUPが現在注力しているのは、クラウドソーシングを利用したイラスト制作の受託事業「クラウドクリエイティブスタジオ」だ。
カードゲーム型ソーシャルゲームの流行により、ゲーム向けのイラストの需要は非常に高くなっている。それなりの規模で展開するゲームであれば、3カ月で150枚程度のイラストが必要になるという。
しかし一方で、イラストレーターは優秀で単価が高く、すでに数カ月は仕事を受けられないというような人気の層と、クオリティ面でも単価でも低い層の二極化が進んでいるという。「美麗カード」と呼ばれる精細なイラストであれば10万円以上、時には50万円という金額にもなるものがある一方、文字通り買いたたかれるようなイラストもあるのだという。
そこで同社では、美大出身やアートディレクションの経験があるスタッフ4人を社内でチーム化。彼らが社外の若手イラストレーターや美大生などをディレクションし、ラフ、線画、配色、塗りといった各工程ごとに分業させることで、安価で品質の高いイラストの作成を進めているのだという。現在約60名のイラストレーターらが登録しているという。
MUGENUP代表取締役の一岡亮大氏は「能力はあるが経験値が少ないイラストレーターは多い。ディレクションすることで、作業やトレンドなどを学んでもらう。また、1つの作業だけをやらせるわけではなく、全行程を経験してもらうことで、独り立ちする道もできる。いわばOJTの代行。実際にここで経験を積み、ゲーム開発会社に入社した人もいる」と説明する。
月間の売上はまだ数百万円とのことだが、引き合いは多く、「登録しているイラストレーターをフル回転しても回りきらない状態」(一岡氏)。5月24日には、東洋美術学校との業務提携を発表。MUGENUPのイラスト作成やチーム制作ノウハウをもとに、東洋美術学校への講座提供や共同クリエイティブプロジェクトを推進するという。またMUGENUPでは、2012年度中に国内10校の美大・専門学校との提携を目指すとしている。
当初のサービスから大きなピボットを行ったMUGENUP。だが一岡氏は「ミナオメでも考えていたのは、ネット上で1つの物事を成立させるということ。未完成のものから完成したものを作っていくのは同じ」と語る。今後は、現在メールなどを中心に行っているイラストレーターとのやりとりを、システム化することも検討中だという。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」