オーシャナイズは4月12日、大学生限定の学割スマートフォンサービス「タダスマ」の申し込み受付を開始した。スマートフォンの使用時に広告を表示することで、端末料金、初期事務手数料、テザリング料金などが無料になる。また、データ通信も月額2980円と低価格で利用できる。5月初旬に発送を開始する予定。
オーシャナイズは、コピー用紙の片面に広告を掲載することで、通常1枚10円のコピー代が無料になる「タダコピ」を大学向けに提供する企業。同代表取締役社長の菅澤聡氏によれば、サービス開始から約6年が経過し、タダコピを利用できるコピー機を設置している大学は現在140校、また広告を出稿する企業も当初の50社から550社まで拡大している。さらに日本に加えて、北米・中国でも事業を展開しているという。
新たにスマートフォンで展開するタダスマも、基本的にはタダコピと同様のビジネスモデルとなる。申し込みはウェブサイトで行うとしているが、すでにタダコピを設置している140校に端末のモックを展示したり、大学生協などと連携して販売する方法も検討しているという。
菅澤氏は、スマートフォンに着目した理由として、大学生のスマートフォンの保有率を挙げる。マイナビが2012年1月に実施した調査によれば、就職活動にスマートフォンが役に立つと回答した大学生は95.3%にのぼったが、実際にスマートフォンを保有している大学生は59.3%にとどまっている。
また、スマートフォンを保有していない大学生のうち、72.3%がスマートフォンの購入意欲があるとする一方で、スマートフォンを利用したいと思わないと回答した大学生のうち44.7%が「お金がないこと」を、その理由として挙げたという。
菅澤氏は、国内通信キャリアが提供する学割サービスでは、通話をしなかった場合でも最低4725円の月額料金がかかると説明し、「我々としては、お金がない学生にとって(この金額は)負担が大きいのではないかと捉えている。(タダスマで)この負担を下げることで学生を笑顔にできる」と語る。
タダスマで提供する端末は、2011年7月14日に発売されたイー・アクセスの「Poket WiFi S II」(S41HW)。OSにはAndroid 2.3を搭載し、最大5台まで同時にテザリングできる。イー・モバイルオンラインストアでの価格は2万9800円だが、タダスマでは無料で提供する。データ通信端末であるため通話機能は標準搭載されていないが、「Skype」などのIP電話サービスによって代替できるとした。
月額2980円で7.2Mbpsのデータ通信を利用でき、月内のデータ通信量が5Gバイトを超えた場合は月末までの通信速度が128Kbpsに制限される。また、契約回線数が増えるほどデータ通信の月額料金が安くなる“料金反比例制”を採用しており、菅澤氏は「ゆくゆくはデータ通信料を無料にしていきたい」と意気込む。目標として1年目で5万回線、2年目で20万回線を掲げた。
なお、3年間の継続利用が条件となっており、たとえば大学3年生の時に契約した場合は社会人1年目まで利用できる。また利用期間が3年を超えた場合は、1年おきに更新可能。途中で解約した場合の違約金は1年目が2万円、2年目が1万5000円、3年目が1万円となる。
広告はロックの解除後に表示される。広告の種類は、タップしてリンク先に飛ばすタイプや、スライドショー、動画を流すタイプ、FacebookやTwitterなどで拡散できるタイプなど幅広く用意する。端末が発送される5月初旬時点では約8社の企業広告が展開される予定だという。
菅澤氏は「いま大学生にとって厳しい時代になっているが、間違いなく20~30年後に日本を背負っていく層になる。大学生にタダスマを提供することで、彼らに笑顔になってもらいたい」と語り、将来的には中高生や社会人にも顧客層を拡大していきたいとした。
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