PinterestやTurntableのデザイナーである若干19歳のSahil Lavingia氏が米国時間2月13日に立ち上げた「Gumroad」が注目を集めている。
Accel Partnersをはじめとした有力ベンチャーキャピタリストから110万ドルを集めて立ち上がったGumroad。FacebookやTwitterのアカウントを使ってユーザー登録をした後、さまざまなデジタルコンテンツとそのサムネイルなどをアップロードし、価格を設定すれば、ユーザーがソーシャルメディアなどを使って自由にそのコンテンツを販売できるというサービスだ。
これにインスパイアされたサービスが、クレイジーワークス 代表取締役総裁 村上福之氏が2月14日に公開した「Ameroad」だ。デジタルコンテンツに対して1万円まで(2月21日現在)の価格を設定して販売できる。出金時に手数料15%がかかる。
村上氏はウェブメディアやTwitterを通じてGumroadの盛り上がりを知るやいなや、「サイトにつながらなかったため、仕様をTwitterで知ってGumroadもどきの『ファイルマーケット』としてサービスを開発した」(同氏)のだという。その後サービス名をAmeroadに改め、自身のブログやTwitterでサービスを告知。さらに注目が集まった。
いざサービスを立ち上げた村上氏だが、「自分でサービスを運用しても回らない。サービスを作ってみてモバイルへの対応が必須だと気付いた」との考えから本格的な運用を前にして、自身での運用を断念。サービスの売却を考えたが、そこで選択したのはなんと「Yahoo!オークション」だった。価格は50万円から。即決価格で150万円という設定にした。「普通にデューデリジェンスすれば数千万円の価値があるサービスだったのではないか」(村上氏)
そんなYahoo!オークションに出品したAmeroadを即決価格で落札したのは、大阪のIT企業であるラゼスト 代表取締役社長の木村仁氏。実は村上氏の実兄の昔からの友人であり、実兄の結婚式で面識があったのだという。
ラゼストはモバイルに特化したソーシャルゲームポータル「ゲムトモ」を運営する企業。木村氏は「次のサービスとして、『Campfire』のようなイメージで、コンテンツやモノに対して個人がパトロンとして支援できる仕組みを考えていた。そんな中でAmeroadの存在を見つけた」と買収のきっかけを語る。「Yahoo!オークションで見て『これは!』と思った。金曜日(2月17日)に見つけたあとは、誰かが即決価格で購入するのではと思いつつも、まずはCTOに連絡をとり、土曜日(同18日)にはボタンを押していた」(木村氏)
本家Gumroadも、Ameroadも、誰もがクリエーターになりえるサービスだが、実際のところサービスは拡大、普及するのだろうか? これに対して木村氏は「コミケなどもそうだが、『知っている人からものを買う』というニーズがあると考えている」と語る。村上氏も「実は今のTwitterなどは、有名人が中心に居て多くの取り巻きのユーザーがいるという大きなコミュニティが多いのではなく、クラスの人気者が中心にいるような小さなコミュニティが数多くある状態。大学の友人がやる演劇やバンドの感覚でコンテンツを買うのでは」と期待を寄せる。
また、管理者がアップロードされたコンテンツを目視で確認できるとは言え、課題になるのはコンテンツの安全性だ。村上氏はこれに対して、Twitterアカウントを利用することで解決していると説明する。同サービスでは、Twitterアカウントがボットやスパムに利用されているようなものでないかを判定しており、“生身の人間のアカウント”と判定されない限り登録すらできないのだという。「ソーシャルトラストと呼んでいるが、メインのTwitterアカウントを消されると、ケータイを失うのと同じように(ソーシャルメディア上では)困る。それはお金に変えられない信頼性」(村上氏)。いつも使っているTwitterアカウントと結びつけることが、違法性のあるコンテンツのアップロードを防ぐ抑止力になるという具合だ。
今後はフィーチャーフォン、スマートフォンともに対応を急ぐ。コンテンツの購入だけでなく販売も含めてモバイルだけで完結できる仕組み作りにも取り組むという。さらに決済についても、現在PayPalのみの対応だが、「モバイルでの利便性を考えてあらゆるものに対応していく」(木村氏)としている。
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