海外へのビジネスメールや海外のウェブサービス、オンラインゲームでのチャットなど、インターネットの発達によって、私たちは海外の人々とコミュニケーションをとることが多くなった。しかし母国語が英語でない日本人にとって、日常のコミュニケーションで必要になるのが翻訳だ。Google翻訳などに代表される機械翻訳は気軽だが精度はあまりよくない。一方人力翻訳はそれに比べて高価で時間がかかる。そんな両者の中間ニーズを汲み取ったサービス、それが、エニドアの運営する「コニャック」だ。
エニドアは1月11日、コニャックの全面リニューアルを実施した。同社は2011年12月にngi groupなどから約3200万円の第三者割当増資を実施している。オンラインでの人力翻訳サービスとしては、myGengoの「myGengo」などがあるが、エニドア代表取締役の山田尚貴氏は、「ほかのサービスに比べて気軽に利用できるよう、料金体系などで差別化をはかっている」という。
コニャックはクラウドソーシングの仕組みを使って世界中から翻訳者を集め、最大720文字という比較的短い文章を翻訳依頼できるサービスだ。翻訳依頼は登録されている翻訳者にメールで通知され、サイト上で翻訳される。翻訳者のスキルはさまざまなため、複数人の翻訳が依頼者に提示され、最も意味が通じるものを選ぶことができる。競合サービスでは細かにスキルを区分けし、料金体系に反映しているところもあるが、このあたりが他者との差別化とも言える。現在サービスの登録者は1万人弱となる。
今回のリニューアルでは、デザインを一新。またこれまで同じアカウントだった翻訳者と依頼者のアカウントを分けたほか、翻訳の精度向上を中心にしたサービス改善を実施した。
依頼者向けの機能としては、これまでポイント制だった依頼の料金体系をクレジットに変更した。都度購入の場合、1クレジットは3ドル(月額会員の場合、プランに一定額のクレジットが含まれる。追加購入は1クレジット2ドル)で販売され、1回毎の翻訳依頼が可能になる。また、ほかのユーザーに対して非公開となる翻訳依頼は、月額会員のみの利用となった。そのほか、自分が翻訳を依頼したくない翻訳者については、ブラックリスト機能で依頼を拒否できるようになり、より自分の求める翻訳結果を得やすい仕組みになっている。
翻訳者向けの機能では、Facebookによるログインを必須とした。山田氏は「これまで翻訳者の精度にばらつきが大きかった。Facebookでのログインを必須にすることでユーザーの身元を明確にし、不正などを防止する」とその狙いを話してくれた。同時に翻訳者のプロフィール画面も充実させることで、これまであまり顔の見えなかった翻訳者との距離感を縮めたこともポイントだという。
また、これまで複数登録が可能だったネイティブ言語についても1つに絞り込むよう変更した。本当にその言語がネイティブかどうかを調べるため、翻訳言語の入力を必須にするなど、翻訳の精度向上も狙っている。
これらの機能改善や機能追加をする一方、Twitterに投稿した内容を翻訳する「140trans」は一時的にサービスを休止した。1月中にも、Facebook上で展開するコニャックのサービスと統合する予定。
エニドアでは、2013年までにユーザー数100万人、売上1億円を目指すとしている。
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