NTTドコモのLTEによる高速通信サービス「Xi」が本格展開を開始した。10月に発表されたLTE対応のスマートフォンが続々登場し、ユーザーの増加とともにXiのエリアも急速に拡大している。
Xiのサービスを実際に使ってみると、もうFOMAには戻れない……というのは少し言い過ぎかもしれないが、快適さがまったく違うのだ。規格の上でFOMAや他社の3G回線と比べて早いのはもちろん、実際の速さも違う。また、大きな画像も一瞬で届くということ以上に、ブラウザでリンクをクリックした後のデータが流れ始める素早さもFOMAなどに比べてワンランク上と感じられる。
そこで、12月に登場したGALAXYシリーズで現在唯一LTEに対応する「GALAXY SII LTE」を使い、GALAXY SII LTEとXiのパワーを見ていく。
LTEに対応しない初代の「GALAXY SII」は2011年6月に発売された。デュアルコアCPUを搭載し、この冬のモデルに対してもまったく遜色なく、これからも現役モデルとして使いこなせるスマートフォンだ。2011年のNTTドコモを代表する端末のひとつと言っても過言ではない。
しかし、GALAXY SIIを使っているユーザーなら、回線による速度の差に気づいているかもしれない。光ファイバを使った高速回線に無線LANで接続した場合と外出時にFOMAの回線に接続した場合の反応が異なり、光ファイバでの接続の快適さに比べると、FOMAでの接続は少々残念に思っているだろう。
光ファイバ回線を使うことでより速くウェブページを表示できるなら、それはGALAXY SIIの処理能力がFOMA回線を上回っているということだ。逆に言えば、FOMAの回線では、GALAXY SIIの高速処理を生かしきれないということでもある。
そこで、LTEを使って通信を行うことで光ファイバ+無線LAN接続との差は小さくなる。また、速度差以上にウェブサイトを閲覧中に、リンクにタッチ(クリック)してから、実際にページのデータが流れ始めるまでの時間も短くなるようで、回線の速度差以上にサクサクとページ表示が行われる印象だ。
GALAXY SIIのパワーを存分に活用したいなら、早い回線は必須ということになる。
LTEを使えば、GALAXY SIIのパワーを存分に活用できるとはいっても、新しいサービスで気になるのはエリアの問題だ。どんなに優れたサービスであっても、圏外では意味をなさない。
実際にLTEのエリアか否かの判断は、GALAXY SII LTEの場合、画面の上のステータスバーに「LTE」の表示が出る。LTEと出ていればエリア内で、下り最大37.5Mbps(一部特定エリアのみ75Mbps)の超高速通信ができるということになる。LTEの表示がなければ残念ながらその場所で超高速通信はできない。
NTTドコモのXiの優れたところは、LTEのエリア外の場合は自動的にFOMA回線に切り変わること。LTEのエリアでは超高速通信だが、それ以外ではFOMAの3G回線による高速通信が可能。LTEのエリアは現在拡大中で、東京都内でもエリア外の場所もあるが、実績あるFOMAのエリアなら、日常生活をする上で圏外で困ることはまずなさそうだ。
LTEになって通信速度が速くなるのはいいが、問題は料金だ。しかし、高くなると思いきやXiなら意外に安くなることもある。
現在、FOMAのパケット料金は完全フラットなプランで月額5460円。対するXiは5985円で月額525円高くなる。しかし、PC接続やテザリングを使った場合、FOMAではパケット通信料の上限で8190円へ跳ね上がるが、Xiなら月間7Gバイト以上で帯域制限がかかるもののテザリングでも5985円で利用可能となる。
また、期間限定ではあるが、2012年4月30日までならXiは4410円とぐっと安いキャンペーン料金が設定されている。
今までPCを使うために別途モバイルルータを用意していた人も、テザリングを使って通信回線のGALAXY SII LTEへの一本化を図ってしまえば、モバイルルータ分の通信料がまるまる浮き、料金面でのメリットはさらに大きくなる。
一方、音声通話は注意が必要だ。Xiの音声プランは月額780円(2年契約時)で無料通話料なしのプランが1つあるのみ。NTTドコモ同士の通話が無料になる月額700円の「Xiカケ・ホーダイ」のオプションが唯一というシンプルな体系となる。
NTTドコモ同士の通話ばかりならばXiで安くなる可能性があるが、他社携帯電話や一般加入電話への通話が多い場合は高くなる可能性がある。Xiでは無料通話プランがなく、通話料の課金単位も30秒21円で固定されているので、通話時間が長い場合の請求額の増加も大きいので注意が必要だ。
以上のように、GALAXY SIIとLTE対応のGALAXY SII LTEの比較では、Xiサービスのため音声通話の料金システムが変わることと、LTE版ではワンセグ受信に対応しないことが大きな差となる。
また、現在実用化されたサービスがなく活用はできないが、GALAXY SII LTEだけ「NFC」に対応している。NFCをわかりやすく言えば、おサイフケータイのワールドワイド版で、今後の展開が期待される機能である。
ワンセグがないことに問題がなければ、今、選ぶべきは超高速通信に対応した「GALAXY SII LTE」と言える。GALAXY SII LTEは実績あるAndroid 2.3を搭載し、アプリの動作という面でも不安はない。もともと早い処理速度に超高速通信が加わってサクサクの条件がそろっている。発売から数週間がたち、アクセサリ類も出揃ってきた今、まさに買い時の到来だ。
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