ソーシャル×エンタメで仕掛けるローソンのO2O戦略 - (page 2)

 放送中の作品の内容に対してTwitterのハッシュタグなどを付けて、ユーザー同士でリアルタイムにコメントしあう、ソーシャルメディアならではの特徴と親和性が高いことも、同社がアニメとコラボする要因になっている。「ソーシャルメディアが発達してきたからこそ(アニメとのタイアップも)うまくいっていると思う。もし2年前にやっていたらここまで成功しなかったのでは」(白井氏)。

  • 11月27日からユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)近くのローソン店舗が「けいおん!」仕様に。同日はUSJでけいおん!のイベントが開催されたこともあり、通常の数倍の売上を記録したという

 これらのキャンペーンについてネット上で「ローソンはどこへ向かっているんだ」と言われることもあるというが、同社では「2ちゃんねるやニコニコ動画を利用している社員も多いので、そういったコメントについては褒め言葉として捉えている」という。一方で、「これまでアニメ一辺倒できてしまったので、2012年はソーシャルゲームなどにも力を入れていきたい」と話す。

 ソーシャルゲームへの取り組みとしては、8月~9月わたり、SNS「GREE」で提供されているソーシャルゲーム「ドラゴンコレクション」のオリジナルグッズが抽選で当たるキャンペーンを実施。また、12月5日にヤフーとスクウェア・エニックスがオープンベータサービスを開始したオンラインゲーム「モンスタードラゴン」で使用できるアイテムがもらえるキャンペーンを2012年1月3日から開始する予定だ。

目指すは「エンタメ360度」

 これらの取り組みは、ローソンがネットの情報によって実店舗での購買行動などに影響を与える「O2O」(Online to Offline)施策の一貫として実施しているもの。TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアを活用して新商品を告知したり、アニメとタイアップすることで、実店舗への来客や購買を促進することが目的だ。

 とはいえ、店舗数が1万店を超える大企業でありながら、数多くのソーシャルメディアに展開したり、次々と話題のアニメとコラボするなど、そのフットワークの軽さは目を見張るものがある。白井氏はその理由を、ローソンでは「何でもチャレンジしようという文化がある」こと、また「IT部門が協力的である」ことだと話してくれた。

 「ソーシャルメディアクーポンを展開するには、Loppi(店頭端末)を改修する必要がありましたが、(本部担当やEC事業担当など)各IT部門同士で知恵を出し合って約2カ月で実現させることができました。ローソンでは比較的IT部門の人数も多く、彼らが非常に協力的であることが大きいですね」(白井氏)。

 今後はさらにエンタメ分野に力を入れていく。6月9日に提携したヤフーや、2010年に子会社化したHMVとの連携を強化することで、エンタメ関連の商材をネット、リアル問わず購入できるインフラを整備。チケットや本、DVD、グッズなどをパッケージ化して提供する「エンタメ360度」を目指すという。2012年はどのような施策でO2O戦略を加速させていくのか、ローソンの今後の展開に期待したい。

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