“通る企画書”の書き方(2)--伝わるメッセージを書くためのポイント

田中裕明(ビジネスITアカデミー)2011年11月26日 09時00分

 前回は、企画書や提案書を作成する上でまずは知っておきたいポイントをお伝えしました。今回は「伝わるメッセージ」とはどんなものか、その書き方をご紹介します。

 企画書や提案書を書けない方の多くは、1枚目の1文字目から詰まってしまいます。理由は以下の2つが考えられます。

  1. 企画内容・提案内容が整理されていない
  2. 完成度の高いものを作ろうとするあまり、何を書けばよいのか悩んでしまう

 1の場合は重症です。企画書を書きながら企画内容をまとめようとしているわけです。神業に近いでしょうか。1のケースに当てはまると感じたときには、第1回目を読みなおしていただき、企画や提案の整理をしてください。そのうえで、作成に入ることをお勧めします。

 2の場合にお勧めすることは、体裁を考えずにとにかく書いてみることです。長々とした文章でも、手書きの図やグラフでも結構です。全ての成果物に共通のことなのですが、出来栄えは意識せずに必要と思うことを書いていくことが大事なのです。書いたものを出力すると、成果物を客観的に見ることができるようになります。他者がつくった企画書や提案書の出来栄えに、きちんとした意見を言える自分に遭遇したことが、誰しもあるのではないでしょうか。

  • 文章が長すぎて理解できない
  • スライドタイトルと中身があっていない
  • 選択したグラフが違うのではないか
  • 必要な情報が含まれていない
  • 逆に、余計な情報が多い
  • 色を使いすぎていて見にくい

 などなど、さまざまに気付くものです。その気付きを反映して修正を繰り返すのです。そうすれば、だんだんよいものに変化していきます。この経験を繰り返せば、最初から結構、出来栄えのよいものができるようになります。

 修正を繰り返す中で、重要なポイントの一つにメッセージがあります。一般的にパワーポイントで作られたスライドの構成は下図のようになります。


 一般的に、序章、本論、まとめで構成されるといわれていますが、ここでは、全てを本論としています。とにかく書き始めるということにおいては、序章、本論、まとめなどの区別は考えないことの方がよいと言えます。

 もっとも大事なのはタイトルスライドのタイトルです。このタイトル次第で、その後の説明を聞きたくなるのか否かが決まると言っても過言ではありません。

 タイトルには、この企画・提案を採用すべきポイントが書かれていなければなりません。例えば、以下のようなことです。どのようなメリットがあるかがわかるので、話を聞きたくなるようなメッセージです。

  • 生産コスト30%削減のための……
  • 営業利益を50%向上のための……
  • 市場占有率を2倍にするための……

 そして、次に、スライドメッセージを決めます。これは、タイトルメッセージを説明するためのものです。要するに企画検討した結果を書いていくのです。また、説明相手を想像し、質問する内容をスライドメッセージにします。最後に、スライドメッセージ2を決めます。これは、スライドメッセージを説明するものです。

 これらのメッセージが、企画や提案の骨子となります。つまり、これだけ読めば概ね理解できるわけです。この時点で、メッセージに無理・矛盾がないか検証するとよいでしょう。

 第3回では、企画書や提案書を分かりやすいものにするための、「要約」「図解」「グラフ」の説明を行います。

“通る企画書”の書き方(1)--企画や提案書の本質を知る

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田中裕明
1981年有明高専電気工学科卒業。
外部記憶媒体・装置メーカー・PCメーカー・IT資格企業を経て、2008年6月にビジネスITアカデミーを設立。著書に、「パパッと作るA4一枚の企画書報告書」「ビジネス力が身につくExcel&Word講座」がある。
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ビジネスITアカデミー
企業研修サイト:http://bit-a.jp/
個人向けセミナーサイト:http://www.bit-a-seminar.jp/
スキルチェックサイト:http://skill-check.org/
2008年6月設立
金融、商社、生保、証券、アミューズメント、製造など幅広い企業に、実務を改善するための研修や、個人向けにセミナーを提供。ExcelやAccessによるツール/システム開発も受託。2011年毎日新聞デジタル社の注目企業50社に選ばれる(http://mainichi50.jp/bit-a)

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