グローバルICTの今後を4テーマで読み解く--主要IT系媒体が2回目の討論(後編)

 主要IT系メディアの代表4人が議論を闘わせる、「グローバル化とともにIT活用をどう変化させればよいのか」という問題。前編ではグローバルビジネスでのITガバナンスがあるべき姿について論じられた。後編では、さらに注目すべき調査結果が披露される。


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左から着席順に
朝日インタラクティブ CNET Japan編集長/別井 貴志
アスキー・メディアワークス TECH.ASCII.jp編集長/大谷 イビサ氏
ITR シニア・アナリスト/舘野 真人氏
アイティメディア ITインダストリー事業部
エグゼクティブプロデューサー/浅井 英二氏
日経BP コンピュータ・ネットワーク局ネット事業プロデューサー兼 日経コンピュータ編集プロデューサー/星野 友彦氏

海外拠点から全世界を統括管理する企業が元気

 前回、モデレーターのITR シニア・アナリストの舘野真人氏が発表した企業へのアンケート調査の数字をもう一度おさらいすると次のようになる。

 グローバルITガバナンスの推進体制


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 では、多くの企業は、現在は日本の本社からITを統括管理しているが、近い将来は海外の各拠点、あるいは海外のある中核となる拠点から統括管理することになると考えていることが示された。これに関連して舘野氏は、ITRの同じ調査の別の質問は一定の傾向も推測できたと話す。約500社の日本企業を対象に調査したところ、北米市場において最も売上げを伸ばしている企業群は、ITガバナンスに関する質問で「国外(本社のある日本以外)の拠点から全世界の情報システムを統括管理している」と答えた企業だったというのだ。

 また「グローバルITガバナンスの基本方針」


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 では、情報システムの統括管理している場所を「本社(日本)から」が多数派であったが、「国内と国外の二極で」「地域単位で」「各拠点に任せている」と答える企業も一定数見られた。これについても、国外から全世界を統括管理している企業が、成熟した北米の市場であっても、売上げをもっとも伸ばしているという。

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 さらに「グローバル標準へ向けた取り組み・あるべき姿」では、「今後は情報システムについて海外で標準とされる環境を日本を含めた全世界に展開する」と答えた企業が29.8%にのぼったが、こうした姿勢の企業は北米市場において、もっとも売上げを伸ばしていたという。

 「日本の要求水準を全世界に展開する」「日本とそれ以外の地域の二種類を用意」「地域単位で標準化」「個々の拠点で最適化」と答える企業群と比較して業績が良いというのだ。この結果を直ちに因果関係として捉えるのはやや性急かもしれないが、北米を欧州市場に置き換えても同様の傾向が出たという。

 館野氏は「ここに何らかの相関関係が存在するのは、明かではないか。こういう結果を見せられると、IT部門としても、海外で全世界の情報システムを統括するというプランに抗しきれないのではないか」と指摘する。

 こうした結果に対して、アイティメディア ITインダストリー事業部 エグゼクティブプロデューサーの浅井英二氏は“グローバル化の成熟化の結果”と分析した。

 「最初は本社からシステム担当者と経理担当者が現地に行って数年かけて拠点としての機能を作り上げていた。しかし、各市場がどんどん成熟化していく中で、バックオフィスも含めて移していく流れが出てきている。そこで本社はどこにするのが一番いいのか、という問題に突き当たるわけです。長年グローバル市場でビジネスをしている企業は機能ごとに本社をいろいろな場所に作ったりしている。今後そういう流れが進むと思う」

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