DeNA提訴でグリー田中社長:報復を恐れて損害を回復しないのは間違い

 既報の通り、グリーはKDDIと共同で東京地方裁判所において、ディー・エヌ・エー(DeNA)に対し訴訟を提起したと発表した。両社は、不当行為に基づく損害賠償として10億5000万円(グリー:9億円、KDDI:1億5000万円)を請求している。

 「モバゲータウン(現:Mobage)」を運営するDeNAは6月、グリーのSNS「GREE」と取引のあるアプリ開発会社に対して不当な圧力をかけたとして、公正取引委員会から排除措置命令を受けている。

  • グリー代表取締役社長の田中良和氏

 具体的には、DeNAが特定のアプリ開発会社に対し、GREEを通じてソーシャルゲームを提供した場合に、モバゲータウンを通じて提供するソーシャルゲームのリンクを掲載しないと圧力をかけたとされる内容。グリーとKDDIは、排除措置命令の対象となった圧力によって、本来得られはずの収益を失ったとして、今回DeNAを相手取り提訴した。

 またグリーでは、DeNAはゲーム開発会社のみならず、広告代理店、サーバ会社、決済会社などにも同様の圧力をかけていたほか、排除措置命令後も圧力が続いているとアプリ開発会社から相談されているとしている。

 同日の記者会見に臨んだグリー代表取締役社長の田中良和氏は、「損害を受けた会社には事前に訴訟内容を説明したが、このような違法行為を行うDeNAに対して提訴を行うことで、どのような報復があるか分からないので怖くてできませんという会社も多い」とコメント。「我々としては、違法な行為がある中で報復を恐れて損害を回復しないというのは違うと思う。毅然とした態度を示していく」と語った。

 また、DeNAの球界参入については「我々は何か申し上げる立場ではない。しかるべき立場の人が言うべき。懸念しているのは、違法行為を行っていても競争相手に勝てばいいんだという考え方が、世の中で認められるということ。非常に危惧する」とした。

 なお記者会見ではKDDIからの出席者は居なかった。会見後KDDIに問い合わせたところ、「8月に公正取引委員から排除措置命令が出たが、健全な競争環境の構築と違法行為によるau one GREEへの損害について、グリーとともに話してきた」(広報部)とその経緯を説明した。

 こうした一方で、DeNAは今回の提訴について「訴状を見ていないのでコメントできない」(広報部)としている。

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