「ロボットに重要なのは実用性」--iRobot CEOインタビュー - (page 3)

Martin LaMonica (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2011年11月09日 07時30分

 わたしがラジオ番組に出演していたとき、最初に電話をかけてきた人はロボットが仕事を奪っていることについて不満を訴えました。次に電話をかけてきた人は、「薬を調合するロボットが導入されて、わたしは仕事を失いました。今はそのロボットの修理という、前よりもはるかにいい仕事をしています」と話しました。

 革新的なテクノロジはさまざまな方法で世界を揺さぶります。洗濯機が登場したことで仕事を失った人はどれだけいたでしょうか。確かに肉体労働の時間が数え切れないほどなくなりましたが、女性が解放されて、教育を受け、仕事に就き、GDPに貢献する機会が生まれました。インターネットはほぼ間違いなく、手入力などの日常的な秘書の仕事をほかの何よりも多く排除しましたが、業界全体にひらめきを与え、また業界を生み出してきました。全体としてみた場合、ロボットが示す機会は世界の雇用市場とGDPにとって大きなプラスになるとわたしは考えています。

--ロボットは基本的に動くコンピュータだと見なすこともできます。そう考えた場合、ムーアの法則などのテクノロジトレンドは、iRobotの開発サイクルにどのような影響を及ぼしますか。

Angle氏:業界にいい影響を及ぼしているテクノロジトレンドは3つあります。ムーアの法則は間違いなくその1つです。ロボット業界にとってムーアの法則が意味するのは、ロボットにマシンビジョンなどを導入しやすくなっていくということです。そのため、ロボットの周囲の状況を理解する能力が向上し、より複雑なタスクや価値の高いミッションを遂行できるようになるでしょう。

 2つめはゲーム業界です。PrimeSenseが開発した「Xbox」用ゲームセンサは、極めて大きな影響をもたらすセンサです。なぜなら、100ドル以下という非常に安いコストで、ロボットにジェスチャーインターフェースを搭載できるからです。数十億ドル規模のゲーム業界はジェスチャーインターフェースに対して、現時点のロボット業界では不可能な規模の投資を行っています。

 最後の、そして間違いなく最も重要なトレンドは、モバイルコンピューティングの革新です。モバイル業界は現在、ロボット業界が解決しなければならないと考えていたさまざまな問題を解決しています。それには、Voice/Video over IP、マシンビジョン、物体認識、人間が介在しない音声認識、人間と機械をつなぐ非常に高度なインターフェースなどがあります。

--CESで発表したAVAロボットは、この分野における進撃を先導するものになるのでしょうか。

Angle氏:AVAは、われわれが今までに開発したロボットの中で最も重要なものの1つになるとわたしは考えています。このロボットは、首から下の「ロボット部分」と、頭の位置にあるモバイルコンピューティング部分がはっきり分かれています。したがって、このロボットは機動性を備えており、地図を作成し、道を進み、障害物を避け、人間が暮らす非常に混雑した環境の中を物理的に動き回ることができます。さらに、Androidタブレットや「iOS」タブレットを頭の部分に設置するだけで、音声認識や動画表示機能、タッチスクリーンインターフェース、「iPad」向けに開発されたテクノロジを使った顔認識を利用できるようになります。信じられないほど便利なロボットです。これらのタブレット向けの開発ツールはとても洗練されているため、わたしは世界中の人々がロボット専門家になるのを支援することもできます。これら3つのトレンドは、この分野における偉大な革新の時代の始まりを告げるものでした。

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