医療用ロボットを作っているすべての企業を見て、その25万ドルの家庭医療看護を商業化することを考えてみてください。関心を示す人などいるでしょうか。この極めて刺激的ではあるものの、非常に制約の多いエンジニアリングの難問の数々が、(ロボット工学を)ずっと「次なる大きな潮流」という状態に留まらせてきました。それは、「宇宙家族ジェットソン」のメイド型ロボット、ロージーが登場し、床を掃除するのはロボットであるべきだと皆が悟った1962年から続いています。
--あなたは床掃除に対して異なるアプローチを採用しています。人間らしいものにするのではなく、自動化しましたね。
Angle氏:そのとおりです。手で操作する掃除機を使う人型ロボットを作ることが重要なのではありません。床を自動的に掃除する最も簡単な方法を考え出すことが重要なのです。今日でも、床をきれいにすることよりテクノロジに重きを置いた掃除機があります。それはわれわれが欲しいものではありません。
--仮に業界がもっと日常的な雑用をこなす機械を作るようになっても、人々はロボット工学に魅力を感じると思いますか。
Angle氏:素晴らしい質問ですね。表面的には「ノー」ですが、もっと深いレベルで考えると「イエス」です。最初にRoombaを発表したとき、われわれはそれをロボットと呼んでさえいませんでした。Roombaをロボットと呼んだのはメディアでした。一般的な2歳児か3歳児、あるいはティーンエイジャーに「ロボットとは何か」と尋ねたら、自分の代わりに宿題をしてくれたり、犬を散歩させてくれたりする人型ロボットを思い浮かべるでしょう。子供たちのところへ行ってRoombaを取り出しても、「すごい!」と皆が大騒ぎすることはありません。それでも、Roomba所有者の85%は自分のRoombaに名前を付けています。人々は自分たちの生活を楽にしてくれるこれらのデバイスに大いに愛着を感じ、深い感情を抱いています。
われわれのオフィスに「Scooby Doo」と呼ばれるロボット(イラクで道端の爆弾を見つけるのに使用される)があります。Scooby Dooが最終的に爆破されたとき、操作者は目に涙を浮かべ、まるで戦死した仲間であるかのようにScooby Dooを持ち帰ってきました。なぜでしょうか。そのロボットがなかったら、彼自身が死んでいたからです。もう一度言いますが、それは魅力と重要性のどちらを重視するかという問題です。
起業家が失敗を犯す多くの一般的な方法に加えて、ロボット企業の設立に関して誤った決断を下す機会が非常に多いため、本当の意味で価値を生み出すことは極めて困難です。それにはコストが重視されるからです。結局のところ、人間にもできる仕事をロボットがやることになります。したがって、その仕事をする人を雇える以上のコストがかかり、そのことが機会を制限しています。
--その点についてですが、雇用全体に関してもっと大きな不安があり、ロボットが仕事を奪ってしまうのではないかという懸念もあります。人々の仕事を奪ってしまう可能性について、どのようにお考えですか。
Angle氏:それらは妥当な懸念ではないと考えています。なぜかというと、ロボットが今担当している仕事、あるいは今後担当する可能性がある仕事は、現在人手が不足している職種だからです。清掃員の仕事を例に挙げると、現在、その仕事を進んでやる人の数は不足しています。警備関係の仕事でも、進んでやる人の数は不足しており、そうした状況はますます悪化しています。
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