ソフトバンクは10月27日、2012年3月期上期(4~9月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比4.8%増の1兆5356億4700万円、営業利益は同18.3%増の3732億2300万円、経常利益は同23.9%増の3144億8500万円、四半期純利益は同2.8倍となる2172億5200万円となり、3期連続の最高益となった。
移動通信事業における携帯電話契約数が順調に増え、通信料売上が増加したことから増収となった。携帯端末の売り上げは、出荷台数が増加したものの、防犯ブザー付きケータイ「みまもりケータイ」など販売単価の低い端末の比率が上昇したことで微減となっている。
米Citibankに米Yahooの株式を譲渡し、借入金約11億3500万ドルを返済したことで、投資有価証券売却益として約764億3000万円の特別利益を計上。また、持分法適用関連会社である中国のRenrenが、5月にニューヨーク証券取引所へ上場したことで持分変動利益として171億5800万円の特別利益を計上した。
上期の純増契約数は148万9700件で、累計契約数における業界シェアは前年同期を1.5ポイント上回る21.8%となった。また、iPhoneやAndroid端末などスマートフォンの販売が好調だったことに加え、みまもりケータイやモバイルデータ通信端末の販売が拡大したことで、上期の携帯端末販売台数は521万5000台となった。
1契約あたりの月間平均収入(ARPU)は、前年同四半期から10円増の4310円。そのうち基本使用料+音声ARPUは、通話機能のない端末の増加や、事業者間接続料の改定などにより、230円減少し1780円となった。一方で、データARPUはスマートフォンの契約者が増えたことに伴い、240円増加し2520円となった。
ソフトバンクの連結営業利益は2008年から3年間で2倍に成長しており、増加額では国内企業でトップとなる。ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏は、「3年前のリーマンショックの時はJALが先に倒産するか、ソフトバンクが先に倒産するかと言われたが、結果、日本で1番営業利益を積み上げたのはソフトバンクだった」とコメント。
また、ボーダフォンを買収したことで2008年時点で約1.9兆円あった連結純有利子負債を、2012年3月末までに半減する目標を掲げていた。孫氏はこの目標を半年前倒しとなる9月末に達成したと話し、2014年度末にはゼロにするというコミットメントに変更はないと自信を見せる。
続いて孫氏は、10月14日に国内で発売された「iPhone 4S」についてもコメントした。同機はKDDIからも発売され、事実上ソフトバンクモバイルによるiPhoneの独占販売体制が崩れたことでも話題になった。
孫氏は、iPhone 4Sの発売直前に量販店が実施したアンケートで、ソフトバンクよりauのiPhone 4Sが支持されているという結果を見て「背筋がぞっとした」と振り返る。「相当な解約の嵐が来るかもしれないことを覚悟した」と当時の心境を明かす。
しかし、ソフトバンクのiPhone 4Sは過去最大の予約数を記録した。同社ではiPhone 4よりも2~3割は販売数が伸びるのではと控えめに予測していたが、「現実は数百%の伸びだった。予測を大きく上回りすぎてシステムがダウンしてしまい、皆さまにご迷惑をかけてしまった」(孫氏)という。
孫氏は、「この独占が崩れたら、我々のユーザーがどのくらい解約するのかということは、大きな雨雲の状態で常に頭上にあった」と語り、今回の結果によって「霧は晴れた」と安堵の表情を浮かべる。
同社のiPhone 4Sが過去最大の予約数を実現できた要因として、1年半前から電波改善への取り組みを実施してきたことや、ソフトバンク版のiPhone 4Sは通話とデータ通信が同時に行えること、iPhone 3G/3GSからの機種変更では分割金が免除されることなどを挙げた。
一方で、「いままでのソフトバンクの電波は確かに悪かった」と話し、基地局やWi-Fiスポットの増強に加え、同社が希望している900MHz帯の割り当てを受けることで顧客満足度のさらなる向上を目指すとした。
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