シャープは10月27日、2012年3月期第2四半期(2011年7~9月)の連結業績を発表した。第1四半期に比べ売上高は5.3%増の6742億円、営業利益は同8.5倍の300億円、経常利益は215億円、当期純利益は94億円の増収増益となった。各社が苦戦する液晶テレビ事業においても9期連続の黒字化を達成した。
同社では6月に液晶事業の構造改革を発表した。これは亀山工場を核としたモバイル液晶事業の強化と60V型以上の大型テレビ用、ノンテレビ用の大型液晶事業の拡大の2つ。シャープ代表取締役兼副社長執行役員の安達俊雄氏は「モバイル液晶事業と60V型以上の大型液晶事業という2つの成長分野にシフトするという基本路線で構造改革に取り組んできた。第2四半期における急速な業績回復はその成果の表れ。これらの取り組みと着実なコストダウンによって、液晶事業の黒字転換と液晶テレビ事業における黒字を継続できた。今回の黒字化により液晶テレビ事業は9期連続で黒字化になる」と液晶事業が好転したと話した。
液晶テレビの第2四半期売上高は前期比1.7%増の1569億円で販売台数は同9.1%増の359万台。アナログ放送停波による販売減、2~3台目需要による中小型モデルへのシフトによる単価下落と国内では厳しい状況になった。しかし「米国を中心に60V型以上の大型マーケットを開拓したが、これが功を奏した。北米では60V型以上の販売台数構成比が6割程度にまで上がり、売上金額も4割増しと急拡大した」と北米での需要が回復。そのほか中国、新興国地域でも黒字化しており「赤字なのは欧州地域のみ」という。
一方液晶パネル事業においては、モバイル液晶がスマートフォン向けを中心に堅調に推移し、売上高は前期比18%増の2218億円となった。亀山第2工場においてはモバイル向けの改造が完了し、11月には高開口率化、低消費電力化を実現するIGZO液晶の投入を開始するとのこと。堺工場においても「60V型以上の大型液晶事業を拡大することで、安定稼働が維持できる」とした。
省エネ意識の高まりとともに堅調に推移した太陽電池は、売上高が前期比15.5%増の592億円、販売量が22.9%増の319メガワットとなり、国内は黒字を確保した。しかし主力である欧州市場の金融不安や各国の固定価格買い取り制度の見直しによる需要減退もあり、収益環境は悪化している。今後については「地産地消の推進、売り切りビジネスではなくシステム販売を展開していきたい」と打開策を打ち出している。
国内トップシェアを持つ携帯電話は、売上高が前期比13.4%減の801億円、販売台数は4.6%減の200万台となった。これは「従来型携帯電話の落ち込み、海外メーカーとの競争激化など厳しい状況で推移したため」と説明。しかし液晶テレビ「AQUOS」との連携機能や高画質、低消費電力の両立など、強みを生かした特長製品を市場に投入し「国内トップシェアは堅持した」とのことだ。
2012年3月期の連結業績見通しは事業環境を考え、売上高は2兆8000億円、営業利益は850億円と前回公表額からいずれも下方修正したが、第2四半期の業績進展などもあり、経常利益は670億円、当期純利益は60億円と前回の数字を据え置いている。
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