しかし、iPodがかつての輝きを失っているのはよく知られていることだ。iPodの販売台数は、Appleの2011年会計年度(9月締め)で4260万台と堅調に見えるが、下降線をたどっている。その原因として決して小さくないのが自社製品同士の競合だ。Appleは事実上、ユーザーがiPodに求めるすべてのことと、さらなる追加機能を「iPhone」に組み込んだ。iPhoneは現在、Appleに大きな利益をもたらしているガジェットだ。
Appleは開発の中心もそうした新しいデバイスに移しており、iPodラインは数年ごとに小規模な機能改善が施されるだけだ。実際のところ、ここ数回のアップデートを見ると、同社は一部のiPodモデルに関して何をすればいいのか分からなくなっているようにさえ思える。劇的な刷新は同社のほかのポータブルデバイスのために取っておいて、カラーや価格を変更することを選択しているからだ。
iPodが最初に発表されたとき、業界に同じような製品は存在しなかった。それまでのMP3プレーヤーは、内蔵ストレージ容量が比較的少ない初期のフラッシュベースの小型プレーヤーと、Gバイト単位のストレージ容量を備えてはいるがサイズがCDプレーヤー並みのハードドライブベースの大型プレーヤーで、iPodはその中間に位置する製品だった。それらのプレーヤーと比較すると、初代iPodはトランプ1組とほぼ同じサイズで、なおかつハードドライブを内蔵していた。光沢のある半透明の白いプラスチックという外観も珍しく、後にiPodの象徴となった白いイヤホンが付属していた。
iPodはAppleの2つのテクノロジと結びついていた。1つはソフトウェアで、もう1つはハードウェアだ。ソフトウェアに関しては、Appleは急速に成長していたiTunesソフトウェアを利用して、コンピュータにリッピングした音楽を同期する手段を提供した。ハードウェアに関しては、FireWireがあった。FireWireはAppleの高速データ転送規格で、1本のケーブルでデバイスの同期と充電を同時に行うことが可能だったため、Appleは競合他社の一歩先を行くことができた。もちろん、今振り返るとどちらも当たり前のことに思えるかもしれないが、当時はユニークで魅力的だった。
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