シリコン半導体で挑むiPhone放射線測定器--日本最優先で供給

 原子力発電に対する安全性が問われる昨今、注目を集めているのが放射線測定器だ。しかし東日本大震災後、需要が急増した放射線測定器は入手しづらく高価なのが現状。そこで低価格化を目指し開発されたのがiPhone、iPod touch、iPadを利用した放射線測定器だ。いち早く製品化し、すでに3つのラインアップ「RDTX-PRO」「RDTX」「HRDTX」(ホーム用)をそろえる米Scosche Industries(スコーシュインダストリーズ)のJimmy Buchheim氏とDoug Broadhurst氏に、iPhoneを用いた測定の仕組みと開発の背景について聞いた。

  • 写真左からマーケティング担当のDoug Broadhurst氏と開発を担当したJimmy Buchheim氏

高性能かつ手頃な放射線測定器を早く届けかった

  • Jimmy Buchheim氏

--まず、Scosche Indurstiesが放射線測定器を開発されたきっかけを教えて下さい。

Jimmy:当社は1980年の創業以来、カーオーディオやAV機器アクセサリーなどの製品開発、販売を行なっています。最近はAV機器アクセサリーの中でもiPhone、iPod関連の商品を数多く手がけており、その中で音響製品以外の関連機器にも積極的に取り組んでいます。今回の放射線測定器はiPhone、iPodの関連機器の一つとして開発をスタートしました。

  • 「RDTX-PRO」(店頭想定価格:3万4800円)

--放射線測定器は「RDTX-PRO」「RDTX」と「HRDTX」の3製品をラインアップされていますね。

Jimmy:RDTX-PRO、RDTXはiPhone、iPod touch、iPadに専用アプリ「radTEST」をインストールして使うポータブルタイプ、HRDTXは電源コンセントに接続してWi-Fiを利用する据え置き型になります。いずれも検出器にシリコン半導体を使用していることが特長で、これにより安定して精度の高いγ(ガンマ)放射線を探知できます。

--検出器にガイガーミュラー管を用いている計測器も多いですが。

Jimmy:ガイガーミュラー管はキャリブレーション(校正)する必要がありますが、シリコン半導体は20~30年程度は校正の必要がありません。加えてシリコン半導体であればγ放射線の形状や種類、エネルギー量といったことまで測定できるのでより精度の高い検出が可能です。製品寿命が長いこともメリットですね。

 ただ、技術的には複雑で放射線測定器として動作させるには、CPU、増幅器、回路などが必要になります。

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