富士通など、企業グループ経営管理ソフト新版--1億件の明細情報を一元管理

田中好伸 (編集部)2011年07月12日 17時00分

 富士通と富士通マーケティング(FJM)は7月12日、企業グループ経営管理ソフトウェア「GLOVIA SUMMIT GM」を10月末から大企業を中心に提供することを発表した。税別価格は1ユーザーあたり40万円から。2年間で700サイトへの販売を目指す。

 SUMMIT GMは、2006年から提供されている「GLOVIA/SUMMIT V5」からのメジャーバージョンアップ。SUMMITの導入実績はこれまでに1800サイトになるという。富士通の民需ビジネス推進本部長代理である小野恊(ちから)氏は、SUMMIT GMの強化ポイントとして「企業活動情報統合管理、グループ全体での業績管理、グループ統合、IFRS(国際会計基準)対応」という4つを挙げている。

 FJMのソリューション事業本部副本部長である渡辺雅彦氏は、SUMMIT GMのメリットについて「現行の業務プロセスやシステムを活かしながら、グループ経営に必要な情報を統合して、高度なグループ経営管理を支援するデータ統合型の経営会計ソリューション」と説明する。国内子会社の統合基幹業務システム(ERP)や海外子会社の会計システム、本社の人事給与パッケージ、手組みの基幹系システムなどの業務システムからのデータをSUMMIT GMに集約して、企業グループ全体の状況を把握することができる。

 業務システムからSUMMIT GMには、個々の取引の明細情報が格納される。GLOVIA独自のインメモリアーキテクチャを採用しており、明細情報をメモリ上で管理できる。1億件の明細情報をSUMMIT GM上で一元管理して、スピーディーに利活用できるとしている。

 SUMMIT GMでは、受注見込みや受注実績などの将来情報を管理して、実態に基づいた見込み分析ができる。従来、企業の予実管理は年度単位で設定した予算や業績予測を1年間固定するというのが一般的だが、SUMMIT GMでは富士通の経理部門が実践する「ローリングフォーキャスト」をベースに、市場などの外部経済環境の動きにあわせて、半期や四半期などのより短いスパンで見直すことができるとしている。

 多くの会計システムの場合、会計上の情報として仕訳情報だけを対象にしているが、SUMMIT GMの場合、仕訳前の現場情報を一元管理できる。業務の現場層や管理層、経営層という異なる立場が必要となる情報を確認して、その元となった明細を根拠として会話できることから、意思決定の乖離や数値の不整合を防いで、具体的な行動を迅速に取ることができるとしている。

 SUMMIT GMは、会社間論理仕訳という仕組みを取ることで、グループ内取引をルール化することができるという。一般的には、グループ内取引の場合、個社独自のルールに基づいて仕訳を生成するが、会社間論理仕訳によりグループ内取引の仕訳は自動的に生成される。これにより、連結決算の早期化と阻む要因とされる、グループ内取引の照合や差異分析などを解決できるとしている。

 IFRS対応としては、仕訳生成エンジンを標準で搭載している。仕訳生成エンジンは、一つのデータから日本基準とIFRSの仕訳を自動で生成。両基準の組み替え作業や業務システムへの変更を軽減して、IFRSにも迅速に対応できると説明する。仕訳生成エンジンは、グループ各社の業務システムを要約化や変換せずにそのままSUMMIT GMに取り込み、マスタ設定で分岐やコード変換、項目マッピングなどの処理を行ってから、SUMMIT GMの標準インターフェースに変換して仕訳を生成するという方式を取っている。仕訳生成エンジンの設定には「最低数カ月が必要」(渡辺氏)という。

 SUMMIT GMの会計データは、連結会計ソフト「GLOVIA/SUPER COMPACT Pathfinder」と連携して制度連結会計を作成できる。富士通とFJMはSUMMIT GMと固定資産管理ソフトウェア「GLOVIA SUMMIT FM」と経営可視化ソフトウェア「GLOVIA SUMMIT MI」で企業の経営管理強化に応えていくとしている。

 SUMMIT GMの想定ユーザー企業はグループ企業を抱える大企業だ。渡辺氏は「そうした大企業であれば、情報システム子会社を抱えている。情報システム子会社が提供するプライベートクラウドにSUMMIT GMを載せることができる。われわれがSUMMITをクラウドで提供することはない」と説明している。

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