転職先が決まったからといって、そこで気を抜くのは禁物だ。この言葉は、CCIE Agentにおいて転職エージェントを務めている筆者から、転職先が決まった人に向けての戒めである。才能あふれる技術者として会社に迎え入れられた人であっても、初出勤の日にへまをするということも十分あり得るのである。そこで本記事では、新たな職場で望ましいスタートを切るためのアドバイスを紹介したい。
人は転職に成功し、初めての職場に足を踏み入れ、その実感をかみしめる時、新たな仕事のスタートに心を躍らせるとともに、さまざまな不安を募らせてもいるはずだ。こういった人のことを考える時、筆者の頭にはTalking Headsの「Once in a Lifetime」で歌われている「君は自問することになるかもしれない、『いったいどうやってここにたどり着いたのだろう?』と」(♪ You may ask yourself, "Well, how did I get here?")という歌詞が浮かんでくる。
まず、これまでを振り返り、どのようにしてこの職を得たのかを改めて考えてみてほしい。会社を辞めるという決断を下した後、陳腐化していた履歴書を書き直し、インタビューをこなし、晴れて採用通知を手にすることになったはずだ。今の仕事を得るために、どのような行動をし、どういったことを述べてきたのだろうか? 面接担当者たちは目的があってあなたと面接し、審査し、鋭い質問を投げかけ、厳しい吟味を行っていたはずだ。彼らは互いに合意できる最高の人材を見つけ出そうとしていたのである。あなたの履歴書に書かれている内容は架空のものではなかったはずだ。そして履歴書に記されている職歴は、キャリアを築き上げてきた過程におけるあなたの本当の姿を正確に描き出したものであったはずだ。ストーリーが説得力にあふれ、自信に裏打ちされていたからこそ、採用担当マネージャーやその上司の印象に残ったのだろう。あなたは自ら求めることで、就職戦線を勝ち抜いてここまでたどり着いたのである。そしてあなたは、会社にとって最高の選択肢であったため、この職が得られたというわけだ。
この答えはTalking Headsの歌詞にある「今までと同じでよい」(♪Same as it ever was)というわけにはいかない。新たな職場では、過去の仕事で条件反射のように行ってきた行動をとるべきではない。以前にも目にした、あるいは耳にしたと思うことであっても、よく考えてから行動に移すべきである。以前と同じような行動をとるのは、もはや必要のない過去を引きずっている証なのかもしれない。今までの仕事であなた自身が変わってきたように、新たな仕事でもあなたは変わっていくことになるはずだ。ただ、新たな組織に順応するには時間がかかるのである。
面接で会った人の数が多かったにせよ少なかったにせよ、新たな職場の人たちとは理解し合う必要がある。その際、最初に出会った面接官たちはあなたに手をさしのべてくれる可能性のある人たちなのだ。第一印象というものは後々まで残るため、自分らしい振る舞いを心がけ、本来の姿を偽るような真似をするべきではない。仲間や同僚との間に良い関係を築くことは重要で、初出勤の日はそういった関係構築を互いにスタートさせる日であるため、速やかに自己紹介を済ませ、相手のことを知るために時間を費やそう。なお、以前の職場の人々についての悪口はやめておいた方がよい。人は思わぬところでつながっているのである。
働いているうちに職場の人間関係が明らかになってくる。こういったことは上司の力を借りてしっかり把握しておこう。また、職場の給湯室に初日から入り浸ることのないように。こういった場では、職場の人間関係を自らの視点で解説し、あなたの考えに影響を与えようとする人が必ず出てくる。しかし、あなた自身が全員のことを理解できるまで、他人の意見は疑ってかかるのがよいだろう。また、特定の人とばかり話をしていると、そのことを不快に感じる人が出てくるおそれもある。
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