ソーシャルロケーションサービス「RecoCheck」で全社を横断した取り組みをアピールしたばかりのリクルートだが、まだ全社でソーシャルメディアに対する意識を統一できているとは言えないようだ。
Facebookのチェックインサービス「スポット」に結びつくクーポンサービス「Facebookチェックインクーポン」(チェックインクーポン:米国では「Check-In Deals」)を巡って、リクルートの対応を疑問視する声が上がっている。
リクルートは7月1日、Facebookが提供するチェックインクーポンに、クーポンサービス「ホットペッパーグルメ」(HP)のクーポンを提供すると発表した。HPにクーポンを提供している店舗のスポットにチェックインすると、HPに掲載されているクーポンを利用できるというものだ。また同様に旅行サービス「じゃらん.net」に掲載されたホテルや旅館についても、チェックインを使ったキャンペーンなどを展開している。
この部分だけを読むと、Facebookユーザーにとって嬉しい話かも知れないが、ことはそんなに単純ではない。実はこのチェックインクーポン、一部の飲食店経営者にとってはある日突然自分の店舗のスポットができ、クーポンが提供されているというまさに“寝耳に水”の話だったというのだ。
顛末はこうだ。リクルートでは、自社媒体以外のメディアやサービスを活用して、店舗の販売促進を展開する新戦略を検討していたという。そのひとつのケースとして、HPと同じクーポンをチェックインクーポンで配布することを企画。6月以降に営業部隊が店舗にアナウンスし、あわせて6月17日からは店舗にダイレクトメール(DM)を送付して、合計4万店に周知を図った。アナウンスの内容は、HP向けに登録したクーポンをチェックインクーポンでも提供できること、特に拒否の申し出がない限りスポットを作成するということだった。
しかし営業部隊が直接アナウンスできたのは約半数。残りの店舗についてはサービスイン2週間前、しかも店舗向けのDMでのみアナウンスしたため、前述のような状態になったのだという。
飲食店「豚組」を手がけるグレイス代表取締役の中村仁氏は、手元にDMが届かなかった経営者の1人だ。同氏は「ブログにも経緯を書いたが、7月に入り自らの店舗でチェックインクーポンを発行しようとしたところ、規約違反で発行できなかった。そして店舗でチェックインクーポンを利用された方がいて、初めて知った」と語る。
中村氏の「初めて知った」という点については、リクルートのアナウンスの方法によるところが大きい(同氏の店舗はDMのみのアナウンスだったという)が、ではどうして中村氏は自分の店舗のスポットでクーポンを発行できなかったのだろうか。
同氏は、自身が手がける店舗のスポットを以前から作成していた。しかしDMを確認できなかった結果、同じ店舗のスポットが新たに登録され、リクルートの登録したスポットでクーポンが発行されていたのだという。
なぜこんなことが起こったのか。リクルートでは、スポットの多重登録を防ぐようチェックを行っていたが、それはスポットとHPで登録された店舗名が“完全一致”した場合のみだったのだという。たとえば括弧付けで読み仮名を入れたり、半角スペースと全角スペースがHPでの登録と異なっていたりする場合、すべて別店舗とみなし、スポットを作成したのだという。中村氏の店舗もまさにこのパターンだった。
リクルートの発表によると、事前に完全一致するスポットがあったために未登録としたのは38店舗。しかし上記の理由から、これ以外にもスポットの多重登録が発生していたようだ。現時点では集計できていないということだったが、じゃらん.netに登録するホテルや旅館でもこういったケースが存在する可能性がある。
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