この状況を受け、リクルートでは店舗から掲載の取り下げがあった場合には対応しており、サービスインから7月6日までに15店の掲載を削除したという。
「スポットの所有者は店舗側。HPに(店舗向けのシステム上で)登録したクーポンをそのままチェックインクーポンとして配信できるようにしているが、要望があればスポット自体を取り下げている」(リクルート)
なおリクルートの発表によると、7月6日時点でのスポット登録数は約3万8000店舗。営業やDMでのアナウンスでサービスインまでに掲載を拒否したのは350店舗。掲載を保留したのは3000店舗で、うち1500店舗は最終的にスポットを登録しているという。
店舗側の疑問点はほかにもある。今回のスポット作成について、リクルートは店舗の委託を受けた立場であり、「HPの利用規約上、法的に問題ない。ただしFacebookが新しいメディアということもあり、誤解がないように今回アナウンスをした」(同社)ということだ。しかし何かしらの書類にサインした訳でもないため、対応に関して温度差があるのが現状だ。
中村氏は、「リクルートはチェックインクーポンの可能性を自ら潰しているのではないか」と語る。
チェックインクーポンでは、1回限りの「1人用クーポン」、リピート率の高い顧客向けの「ポイントクーポン」、複数人でのチェックインでクーポンが発行される「グループ用クーポン」、チャリティ向けの「チャリティクーポン」の4種類のクーポンを発行できる。そのため、新規顧客を集めたい、リピーターを増やしたいといったように、用途に応じて柔軟にクーポンを使い分けることができる。今回の場合は、HPで提供しているクーポンと同じクーポンしか提供できない。これではわざわざチェックインクーポンを使う意味がないのではないかと説明する。
今回のリクルートの対応に違和感を覚えたのは、中村氏だけではない。ITリテラシーの高い経営者たちも同じ反応を示している。一方で、継続したコミュニケーションが必要となるソーシャルメディアでのマーケティングを、ITリテラシーが高くない店舗にこなせるのかと考えると、疑問も残る。
中村氏も「これまでの店舗向けサイトは、サイトの立ち上げは大変だが、運営は比較的楽だった。しかしソーシャルメディアでは、立ち上げが楽でも、継続してユーザーとコミュニケーションを取っていくのは大変」と語る。ITリテラシーの高くない店舗がスポットとFacebookページを持ったところで、店舗の活性化につながるかはわからないのだ。
「勝手にスポットを作成された」と感じる店舗経営者と、「よかれと思ってスポットを作成した」と主張するリクルート。両者の関係は今後どのように変わっていくのだろうか。
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